オーナーによる独断と偏見にあふれた音楽情報をお送りします。
4000枚を超えるCDストックと、毎月十数枚のペースで増えつづける新譜の中から「こんな時、こんな曲」、季節やお天気、その日の気分にあったCDを紹介します。

音楽も、その気になって聴いてみれば、その音の中にそしてあなたの心の中にも新しい発見があるものです。あなたのテイストにあったCDを見つけてみてください。


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2012年3月5日(月)
今も昔もストレートがイイ〜Manic Street Preachers/ Postcard From A Young Man

イギリスはウェールズから世界に飛び出したグループ。ボクもあまり聴く機会がなかったんですが、このアルバムを聴いて見ました。最近は音響にこだわるあまり、メロディーや歌が後ろに追いやられているバンドが多いけど、このバンドはストレートにロックしてるって感じ。聴いてて昔ヒットしたRanbowのSince You Been Goneという曲を思い出させてくれました。リッチー・ブラックモアファンにはこの頃のRainbowはあまり評判良くないけど、売れたことは確かです。ちょっとつぶれた声のヴォーカルとギターサウンドがとても新鮮に聴こえました。それにしてもこのバンド、多作ですね。また新しいアルバムが出るようです。聴いてみようかな・・・。

2011年12月1日(木)
押さえた感じがたまらない。 〜 Maria Rita / ELO

とうとう出ました、マリア・ヒタの新作です!このジャケ写からはなんとなくやる気を感じませんが、内容はなかなか良いです。前作のSamba Meuは華やいだ雰囲気でしたが、前々作のSegundoのあの華やかさを多少押さえた感じがこの人らしくて好きでした。今回の作品はどちらかと言えば、Segundoに回帰した印象です。サンバっぽいカラッとした曲は最後のボーナス・トラックくらいで、その他の曲はこのジャケ写の通り気だるさが漂っています。ボクが気に入ったのはこのジャケの中身です。なんとも色っぽい彼女の写真がそそります。一時、YouTubeで見た映像ではふくよかになりすぎた感じでしたが、また戻ったんですね。ELOって、エロっていう意味じゃないと思うけど、そうと思わせる大人のアルバムです。

2011年11月29日(火)
グルーヴ感あふれるライヴ 〜 John Butler Trio / Live at Red Rocks

オーストラリアが生んだ、今一番カッコイイ、スリーピース・バンドのライヴ盤です。場所はあのRed Rocks。かつてU2やPink Floydなどもここでやってますが、オーストラリアの赤い大地を印象付ける彼らにピッタリのシチュエーションです。最近、聴いたスリーピースといえばJohn Mayer Trio の「Try!」がけっこう良かったけど、これもなかなか良いです。バンド・アンサンブルといった面ではこっちの方がバンドらしいかも。このアルバム、2CD+1DVDの3枚セットで、海外から直輸入で¥1300ほどと超お買い得。でも、DVDは我が家のテレビでは再生できなかったので注意が必要かも。日本盤は¥2500ということだけど、DVDは方式が違うのかな?
ファンキーでなかなか聴き応えがあります。

2011年11月18日(金)
さわやか〜!住み心地 〜 Real Estate / Days

「リアル・エステイト」と言っても不動産屋さんの話ではありません。ニュージャジーから出た3人組のバンドの話です。このジャケ写の通り、とても爽やかなギター・ポップです。こんなに爽やかな内容を期待していたわけではないので、なんだか気恥ずかしくなります。何に似てるかな〜と思い返してみると、トラッシュキャン・シナトラーズって感じです。それにしても何でこんなバンド名をつけるんでしょう?不思議です。

2011年11月1日(火)
ヤバイ!これ麻薬のようだ。 〜 Skeletons / Money

あ〜、最近、毎晩のように寝る前に聴いてしまう・・。このブルックリンのヤクの密売人のようなバンド。先日ここで紹介した最新作「ピープル」で出合ってしまったんだけど、この前作でまた泥沼にはまってしまった。何が?って聞かれると説明しにくいんだけど、説明を試みるとこんなです・・・、はじめはチラチラと雪が降り始め、舞い降りる雪のかけらを見てるうちに幻惑されて、頭がクラクラしてきて・・、やがて粉雪になり、風が出てきて、うわ〜って思ってるうちに雪に埋もれて・・、気がつけば凍死寸前、てな感じ。音の粒が知らず知らずのうちにすべてを包んでしまいます。このジャケ、中身もちょっとヤバイ。子供のいるところには置いておけません。このバンド、タダモノでは在りません。

2011年9月28日(水)
80年代のエレクトロ・ポップの現在形 〜CANT / Dreams Come True

80年代の音。デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、トンプソン・ツインズなどなど、エレクトロ・ポップの華やかな頃、打ち込みビートに乗って踊った方も多いのでは・・。このアルバムはその頃のものではなく、2011年の作品ですが、その頃のニオイがします。このキャントというグループ?は最近注目のバンド、グルズリー・ベアのフロントマン、クリス・テイラーの一人ユニット。その頃の音を意識したかどうか分かりませんが、エレクトロ・ビートに今風のアレンジ、そしてグリズリー・ベアを特徴付けるような、不安定感も重なり、なかなか面白い作品になっています。80年代と今との時代背景を感じさせるような、ちょっと複雑なポップが正に今の音なんでしょうね。

2011年9月24日(土)
ノスタルジー!とはいきません。 〜 Casiopea / Golden Best!
なつかし〜!という方も多いと思いますが、実はボクもフュージョン少年でした。学生時代、数回コンサートにも行きましたが、ある頃からちょっと飽きてしまい、もう20年ほどまともに聴いていませんでした。でも最近、なんとなく聴きなおしたいな・・なんて気になって、このアルバムに手を出してしまいました。ところが、ノスタルジーに浸るはずが、そうはいきませんでした。というのも、懐かしのあの曲、この曲すべてが新録音なのです。アレンジも違えば演奏自体も違うヴァージョンばかりで、拍子抜けです。でも逆に新鮮に聴ける面もあり、CD2枚130分を一気に聴いてしまいました。あ〜、おなかいっぱい。またしばらく聴かないかもしれません。フュージョンの予定調和もたまには心地いいものです。
2011年9月9日(金)
クリムゾンの新作? 〜 King Crimson Projekct / A Scarcity Of Miracles

このジャケットデザインからしてまさしくクリムゾンの新作?と言いたいところですが、どうなんでしょう。プロジェクトと最後にあるのは「セッション」といったイメージなのかな?。メンバーはロバート・フリップ、トニー・レヴィンそして往年のメル・コリンズに残りの二人は初めて見ます。その内の一人ジャック・ジャクスジクがヴォーカルでサウンドの一つの鍵を握っています。とてもメロウで、マッタリしていてなんとなくクリムソンらしい切れが感じられません。もう一つの鍵を握っているのが、メル・コリンズのサックスです。こちらも気持ち良さそうにマッタリと吹いています。フリップのギターはどこに行ったんだろう?とうぐらい大人しい。「ヴルーム」や「スラック」あたりのヌーヴォー・メタルを予感していた人にはかなりの肩透かしとなるでしょう。ちょっと最近のブライアン・イーノとかと似た感じがあるかな・・。コンテンポラリーな音になっています。これはこれで聴けると思います。「アイランド」くらいまでのメローな部分が好きな方にはお薦めです。

2011年9月7日(水)
朝に聴きたいギターサウンド 〜 藤本一馬 / SUN DANCE

とてもオーガニックな、朝にピッタリのアルバムです。オレンジ・ペコーのギタリスト、藤本一馬のソロ。アコースティック・ギターのソロが中心のインスツルメンタルで、ギター好きのボクには、また朝のアイテムが増えてうれしい。でも途中、ドラムとベースが入る20分を越える曲があるんですが、それはちょっとしたジャズのインプロヴァイズ合戦で、少〜し朝には聴き応えがありすぎるかも。ドラムはROVOやVINCENT ATOMICUSなどでガンガン叩いてる岡部洋一なのでテンションはかなり上がります。オレンジ・ペコーでのヴォーカル作品とは全く印象が違うので、これは新たなファンが増えるのではないでしょうか。なかなかしっかりとしたギター・アルバムです。

2011年9月6日(火)
チャーチ&レイ・ボーンが生んだファンク 〜 Robert Randolph & The Family Band / We Walk This Road

教会のゴスペルの伴奏に使われるペダル・スチール・ギターの名手。ブルーグラスやハワイアンなんかで見かける、座って奏でるギターです。でもこの人のお手本はブルース・ギターの故スティーヴィー・レイ・ボーンと言うから、あのホワンホワンとした印象とは別物です。実際の教会聖歌を曲間にちりばめ、ノスタルジックな雰囲気な作品になっています。初めて聴いたときはニューオリンズあたりのケイジャン・ロックかな?と思ったけどルーツは意外と教会だったんだと思うとうなづける感じです。スチール・ギターっぽくないので普通のブルース・ギターに聴こえますが、それと思って聴けば普通のボトルネックとは一味違います。一枚まるごと聴いて満足できる作品です。

2011年9月5日(月)
あふれる興奮を抑えた緻密な音 〜 Skeletons / People

いや〜、こういうの好きなんだよね〜。ブルックリンからまたスゴイのが出ました。今年のベスト10に入りそうな作品です。フォーキーなヴォーカルのバックに流れる積み重なった音の波は、どこまで行ってしまうんだろうという不安感すら感じさせるほどの盛り上がり・・、かと思えばいきなり静寂だったりと実に実験的な作りです。さすが混沌のブルックリンらしい作品です。最近、ロックの原点回帰のようなバーッとやるガレージ系がもてはやされてるように思うので、こういう緻密に音をつむいだような正しく現代的なアプローチはとても好きです。しかし、ライヴはどうやってんだろう?

2011年9月4日(日)
オシャレでスケールの大きいデビュー作 
〜 Submotion Orchestra / Finest Hour

サボリにサボりまくってました。やっとPCの前に座れるようになりました。今日からまた書きますのでよろしく。
この秋最初は、これからの季節にピッタリのスタイリッシュな作品です。ロンドンからデビューしたサブモーション・オーケストラの1枚目。ヴォーカルに女性を含む7人組で、「オーケストラ」と言うだけあってゲストにはサックスやヴァイオリンなどの管弦を散りばめて、デビュー作とは思えないほどのしっかりとした内容です。クラブジャズの要素とポップなアレンジで、シネマティック・オーケストラやマシュー・ハバートあたりが好きな人にはツボにはまる内容です。この後どんなバンドに成長していくかとても楽しみなバンドです。

2011年6月28日(火)
ブラジル初めての方におすすめ 〜 zuco 103 / outro lado

最近、少し日本でのブラジリアン・ブームも下火になってきた観はありますが、夏はやっぱりこれでしょう!。ジャケ写もなんとなく夏をイメージさせます。このアルバムはスーコ103のデヴュー作。ブラジルから世界へ発信された記念すべき彼らの第1弾ですが、この後の作品に比べてもこれが一番良くできててカッコイイ。内容は、サンバやボサノバなどブラジル・テイストをドラムン・ベースだったりヒップ・ホップだったり、クラブ風にアレンジしたとても聴きやすい感じ。ポルトガル語がやけに耳に心地よくて、いっぺんにブラジル音楽が好きになってしまいます。「ブラジルってどうなの?」と思って聴かず嫌いなあなた、ぜひこれをお薦めします。夏の定番となることでしょう。

2011年6月21日(火)
まったり系テクノ?アンビエント〜 epic45 /May Your Heart Be the Map

木々の間から木漏れ日がチラチラと・・。そんなジャケそのままのサウンドです。音の粒がキラキラとしながらも、まったりとした午後のひと時を思わせます。分類的にはポストロックと言われるジャンルでしょうが、サウンドとしてはアンビエント、エレクトロニカに入ります。リズムやメロディにはあまりこだわりがなく、音の流れる雰囲気で曲を構成しています。類似でいけば、PAN-AMERICAN(航空会社じゃないよ)あたりを出してるレーベル「kranky」によくいる感じのバンドです。本を片手に聴いていると、すぐに眠気が襲い、気がつくと本の上によだれが垂れてて・・なんて状況になりかねないまったり加減です。なんとなく疲れた時にはお薦めの一枚です。

2011年6月9日(木)
なにものにも似ていない王道 〜 Radiohead / The Kings of Limbs

レディオヘッドの待望の新作。Kid Aからアムニージアックのあたりがボク的には最高に好きなので、過去2作は少々フラストレイションが残っていたが、今回はパーッと雲が晴れたように満足なできばえです(あくまでボク的に)。トム・ヨークのソロがその間にありましたが、どちらかと言えばその路線に近い感じ。全体的にユラユラとした彼ら独特なゆらぎの中に、今回はリズムマシーン的なドラムが常に、でも控えめにリズムを刻み、デジタルと生の境界を曖昧としています。トム・ヨークのヴォーカルも唯一無二の不安定さと緊張を表現していて、これも彼らのオリジナリティとなっている。よく似たサウンド、よく似た展開、「これ、〜みたいじゃない?」っていうのが氾濫している世の中、彼らのオリジナリティはなにものにも似ていない王道を見せつけてくれる。

2011年5月18日(水)
気合が入ったTOKUの新譜 〜 TOKU / sings&plays Stevie Wonder

デヴュー10周年を記念してのアルバム。内容は説明不要なスティーヴィー・ワンダーのカバーだ。それにしてもこのジャケ、これまでのTOKUとは一味違います。髪をアップにしたカットは見たことがなかったけど、良く見るとこれってドレッド?なかなか黒っぽくて良いです。プロデュースは我らが宮本貴奈。清里ではお馴染みのアトランタと日本を拠点として活躍するジャズ・ピアニスト。スティーヴィーのメロディーはあまりにポピュラーすぎるので、アレンジしにくいところはあるものの、ソウルフルでありながらジャズに仕立て上げる彼女の才能は素晴らしい。繊細さの中にパッションを持っているTOKUとの共通点がうまく生かされていると思う。聴き込むと味が出る作品に仕上がっていると思います。ぜひ買いです。

2011年5月13日(金)
いつもより明るく軽くなった印象 〜 
Mogwai / Hardcore will never die, but you will.

スコットランドを代表するポストロックの元祖、モグワイの新作です。前作の彼ら始めてのライヴ・アルバムを挟んでのリリース。このライヴがこれまでの彼らの集大成となり、この新作で新たな境地を目指しているように感じられる。モグワイといれば静寂と轟音。美しいメロディと爪弾くようなギターの心地よさから次第にガリガリと耳障りに転じて行き、最後にはこれでもか!と言う様な暴力的な音の世界に引きずり込む。ライヴではそのモグワイ・スタイルを如何なく発揮していましたが、この新作はちょっと違っています。これまでのゆったりした曲作りから少しテンポも上がり、ドラムは前乗りっぽくゴーゴー・リズムに聴こえたりします。Mexican〜なんて曲もあるように、脱スコッティシュをイメージしているんだろうか?。これからの彼らが楽しみな一枚です。

2011年4月28日(木)
21世紀のジミヘン 〜 John Mayer / Where the light is

ギターがこれだけ上手くて、歌が渋い、天が二物を与えた男ジョン・メイアーのロサンゼルスでのライヴです。2枚組で、CD1の最初はアコースティック・ギターでの弾き語り、それからベース、ドラムを加えたトリオ。そしてCD2はバンドセットと編成を変えての録音。どれを取っても彼の存在感はスゴイ。ジミヘンもそうだけどライヴでこそスゴサが分かるというもの。どうしてこのリフを弾きながらこのメロディーが歌えるの?と不思議なくらいです。このライヴ盤、アマゾンで買うと2枚組なのに¥1400くらいとお買い得。
これからの季節、車の窓を全開にして風に吹かれながら聴きたい、そんなアルバムです。

2011年3月23日(水)
イケメン・ジャズ・ピアニスト現る 〜 Hakuei Kim / Trisonique

どうなんだだろう?本人は、・・。イケメンと言われて迷惑な人はあまりいないかもしれないけど、いつもそこには「で、中身は?」なんて意地悪な言われ方も付きまとう。レコード会社も売れないよりは売れた方がいいから「イケメン」を前面に打ち出すわな〜。で、聴いてみての印象だけど、なかなか力が入っていて素晴らしい。ちょっと繊細すぎて、もう少し荒々しさがあってもいいかな、と思うけど、最近のスムース流行りの中では正統派に入ると思う。ドラムが大槻KALTAということもあり、骨太に屋台骨を支えているせいか全体にどっしりとした聴きごたえだ。75年生まれと言うから、そんなに若いという訳でもないので、あまりチャラチャラされないことを望みます。

2011年3月9日(水)
新人らしからぬ安定感 〜 The Reign of Kindo / this is what happens
昨年この2枚目を出したまだ新しいバンドの一枚。まだ新しいと言っても音はかなり成熟した感じだ。ロックとジャズにちょっぴりR&Bで味付けしたなかなか大人のアンサンブルを聴かせてくれる。中でもピアノの生音をうまく使っていて、重いロック・ビートも軽やかに聴こえてくるから心地よい。こう書くとたぶんチェンバー・ロックっぽいサウンドを想像するかもしれないけど、ヴォーカルは骨太R&Bなので嫌味がなく聴けます。心配なことに音楽情報誌によると、このアルバムを出した後、ピアノのメンバーが抜けてしまったらしく、次回作に不安を残すが・・・。ロックとジャズの狭間が好きな方にはおすすめです。
2011年3月8日(火)
ナンなんだろうこの異質な感覚は?〜七尾旅人/billion voices

こんな不思議な音に初めて出会った感じがします。オルタナティヴなんてジャンルや言葉が氾濫していますが、この言葉はまさに七尾旅人のためにあるのではないか。弾き語りをアーティスティックに昇華していくとこんな形になるのか。しょっぱなは美しい旋律に意味不明な歌詞が自由奔放に紡ぎだされていくが、、シャッター街からマイルス・ディビスが現れるあたりになると、だんだん彼の毒に侵されて、ナンだかヤバイ方向へ引っ張り込まれていく。決してBGMにもならないし、ましてや我が家のようなペンションではかけられない代物だけど、これ、スゴイです。密かに高揚しながら聴きたいアルバムです。

2011年1月31日(月)
ギターの神様?を初めて聴きました 〜 David T Walker / For all time

最近、音楽雑誌の裏表紙などで大きく紹介しています。「ギターの神様」と書いてあるのですが、勉強不足でボクは初めてです。もともとはフュージョン系のギタリストにカテゴライズされているのかな、昔のアルバムなんかを見ると、「クロスオーバー」の雰囲気です。で、中身ですが、なかなかまとまりがあって、レイドバックして聴ける、今で言うならスムース・ジャズです。ストリングスを入れたアレンジや音の構成など、インタープレイを楽しむというよりは、イージーリスニング的に聴ける感じです。さすが「ギターの神様」!と感じる瞬間はありますが、昔のジョージ・ベンソンのアルバムのような、印象を受けます。暖かい日だまりで聴くジャズです。

2011年1月9日(日)
新年の第1弾はやっぱりコレかな・・ 〜
  Sufjan Stevens / All Delighted People

新年明けましておめでとう!と歌っているような作品、今年のスタートも彼から始まります。今、一番才気あふれる音楽家スフィアン・スティーブンスのEPです。最新作「The Age of Aze」からのアウトテイクという位置づけらしいけど、EP盤としては本格的な60分。ヘタなフル・アルバムより長い。17分にも及ぶ大作が惜しげもなく収録され、内容的にもかなり充実しています。アコースティックからオーケストラ、コーラスからアンビエントまで、目まぐるしい展開にゾクゾクします。短い製作期間にこれだけのクオリティの高い作品を出してくるとなると、今年のスフィアンも目が離せません。

2010年12月24日(金)
クリスマス・イヴにふさわしい静寂かな 〜   
             Brian Eno / Small Craft on a Milk Sea

今日のイヴは雪が降るのかな〜?。ちらちらと舞う雪とともに厳かな夜を演出する静寂の音。イーノと言えばU2などの売れっ子プロデューサーとしても勿論のこと、アンビエント音楽の大家としても、彼の切り開いた世界は多くのフォロワーを生むほどの存在。ではこの作品は、と言うと過去のMusic for Airportなどの作品のようなアンビエント=環境音楽的なアプローチでとらえられがちですが、どうもこれは違うように聞こえます。全体を通したトータルな雰囲気とは違い、BGMとして聴くには起伏がありすぎるようです。それだけ今回のアルバムには作品としてのこだわりがあったのでしょう。なのでクリスマス・イヴの静寂に浸るには3曲目あたりまででストップした方がよいでしょう。でも音づくりの緻密さはさすがで、やはり大きな音で聴きたい作品です。イーノのアンビエントの方向性がまた一つ進化したようです。

2010年12月18日(土)
2010年 ボクのベスト・アルバム 〜 John Mayer / Battle Studies

巷では今年を締めくくる話題があふれています。明後日に出るミュージック・マガジンもこんなタイトルでしょう。ということで、今年のボクのベスト・アルバムはこのジョン・メイヤーの「バトル・スタディーズ」です。厳密には昨年末の作品ですが、日本に届いたのは2010年なので選びました。このアルバムが特に、という訳ではありませんが、今年はジョン・メイヤーを良く聴きました。彼のしわがれた声に、考えられないようなタイム感で弾くギター、どれを取っても非凡です。このアルバムはかなり歌ものを意識した作りで、彼のギタープレイを期待していた人には肩すかしかと思います。彼のレギュラー・トリオの一員となったドラムのスティーヴ・ジョーダンが共同プロデュースで若い才能を盛りたてています。ジャケットのデザインからしても、ロックのニュー・スタンダードを目指している雰囲気がうかがわれます。今年の5月には来日して一部では話題になっていましたが、ぜひともライブが見たいアーティストの一人です。

2010年12月9日(木)
21世紀を担う「才能」 〜 Sufjan Stevens / The Age of Adz

以前にもここで紹介しましたが、今最もボクが注目するミュージシャン、スフィアン・スティーブンスの新作が出ました。「イリノイ」、「ミシガン」と続くアメリカの州シリーズはやめて、今回はロイヤル・ロバートソンという人の絵にインスパイアされての作品らしい。それにしてもこの人の音楽的な構成力といったらホントにすごい!オーケストレーションと電子音、それにゴスペルのような合唱が壮大なスケールで展開していきます。最近、ブルックリンあたりから出たバンドサウンドを大事にした音楽とは正反対な方向へ向いていますが、この人も列記としたブルックリン人脈のひとりです。これだけの作品を作りだす才能は並大抵ではありません。これからも目が離せない存在になりそうです。

2010年12月8日(水)
あの日から30年が過ぎて・・ 〜 John Lennon / ジョンの魂

今でも30年前の今日のことは忘れられない。ボクは高校3年生だった。とっくの昔にビートルズ熱は冷めて、ビートルズという人たちが当たり前に存在し、これからも存在していくのだろうとおぼろげに確信していた矢先でした。それはボクに何とも言えない喪失感をもたらし、どこかにポッカリと穴が空いたようでした。昨日、BSで「誰がジョン・レノンを殺したか」というのがありました。ジョン暗殺が一人の狂信者による犯行ではなく、アメリカという国家の犯罪ではないかという推測でした。ボクにとっては思いもよらない視点でとても興味深かったのですが、もっと興味深かったのが我が家の息子たちの方です。二人とも食い入るようにのめりこみ、見た後は「興奮して寝れない」と言い出すありさまでした。音楽の力が世界を変えるなんてAKBを見ていたら想像もつきませんが、昨日のジョンの話を聞いていると、それは現実に起こることなんだ、だから「暗殺」されたんだ、と納得させられました。ところでこのアルバムですが、この邦題をつけた人はすごいと思います。原題は「プラスティック・オノ・バンド」ですから。まさにこの中に彼の魂が宿っているかのようです。リマスターが出たので買っちゃおうかな・・・・。

2010年12月7日(火)
作品志向の強い3rdアルバム〜   
          Esperanza Spalding / Chamber Music Society

今、注目のジャズ・ベーシスト兼ヴォーカリストの3枚目のアルバムです。2枚目とはまさに別人といった内容です。以前ここでも紹介した2枚目は、言うなれば彼女のメジャー・デビュー・アルバムで、彼女のキュートな声を全面に出し、さりげなくインストを入れてベースもうまいんだよ!てな感じの作りだったけど、それがよほど売れたんだろうな〜、今度はスキ勝手にやっています。タイトル通り、ヴァイオリンなど室内楽的な楽器をちりばめて、ちょっと非ジャズ的なアプローチです。もっとも変わったのが彼女の歌。スキャットを多用して、声も楽器の一部として演奏されています。ジャケットの写真にレコード会社側の迷いが見られます。表紙はカッコいい女性ミュージシャン然とした写真を使っていますが、内側にはフェミニンな印象の彼女が現れます。ん〜、どっちも彼女ってことかな・・?

2010年12月1日(水)
イタリアン・ジャズで注目です。〜 Nario Biondi / Handful of Soul

最近、イタリアのジャズが注目を集めてるようです。と、言ってもボクが知っているのはファブリツィオ・ボッソというトランペッター率いるハイ・ファイヴ・クインテットくらいですが・・。先日Youtubeでハイ・ファイヴを探していたら偶然にこのマリオ・ビオンディをみつけて虜になってしまい購入しました。このアルバム3曲目の「This is what You Are」がなんともカッコよくビリビリきました。豪快さを感じさせる風貌としわがれた声、それに反して繊細なジャズのスタンダード・ナンバーを歌います。イタリアンと言っても英語で歌っているのでそんな感じはしません。ハイ・ファイヴの伴奏もいつものように正確無比で、イタリア人ってこんなに几帳面なんだっけ?と思わせるほどです。ジャズ・ヴォーカルの入門盤としておすすめです。

2010年11月25日(木)
いろんなことやるオジサンだ!〜 Niel Young / Le Noise

ニール・ヤングの新譜です。この人、出すアルバムによって全然内容が違うから困る。カントリーだったかと思うとギンギンのロックだったり、はたまた映画音楽のようだったり、電子音楽だったり・・。で、このアルバム、これがまたすごい!ギターの弾き語りにノイズを乗せた、というまさに「ル・ノイズ」なのです。ノイズを乗せてるのがU2などのプロデュースで知られたダニエル・ラノワ。この人は自身の作品で同じようなノイズと一緒にスチール・ギターを弾いたりしているので、それがニール・ヤングの歌に置き換わった感じ。なんだか怪物が出てきそうなドローンな作品になってます。これ、ノイズがなかったらどんな作品になっているんだろう・・?

2010年11月9日(火)
新鮮な感じのするアンサンブル 〜 Antonio Sanchez / Live in New York at Jazz Standard

アントニオ・サンチェスというドラマーは初めてですが、久々に新鮮味のあるジャズが聴けてとても有意義です。何が新鮮かと言うと、そのバンド構成。ドラム、ベース、アルトサックス、テナーサックスのカルテット。つまり、ピアノやギターなどのコードを押さえる楽器がないということ。たぶんこの構成だけを見ると、アルトとテナーがテーマを吹いて、順番にソロを吹いてドラムソロで終わり・・みたいな印象がありますが、聴いてみると違うんです。アルトとテナーがいつも絶妙なアンサンブルを創り、どちらかがピアノの役割を果たしているかのような、何だか新鮮なバランスなんです。さすがドラマーのリーダー作だけあって迫力と臨場感は申し分ありませんが、何よりこのバンドのアンサンブルは驚かされます。ドラム好きの方を決して飽きさせない2枚組です。

2010年11月8日(月)
いつもの「フェリー節」が健在 〜 Bryan Ferry / Olympia

いつものブライアン・フェリーです。安心して聴ける内容です。それがいいことなのか悪いことなのか・・・・?と考えさせらるアルバムです。サポート・ミュージシャンもロキシー時代のメンバーがそろい、ファンには嬉しいこと尽くしなのですが、何か足りないんだよね。20年以上前の「Boys & Girls」と印象が変わらないことが「良い」と思えるファンには、これは傑作といえるでしょうが、どうも20年の積み重ねという部分がなさすぎるようで物足りません。このジャケも何だかロキシーっぽくないですか?。予定調和の「フェリー節」、健在です。

2010年10月28日(木)
未発表の曲を集めた作品〜 Morphine / At Your Service

ボクのお気に入りのバンド,モーフィンの最新作。と、言っても過去の未発表音源を集めた企画盤です。モーフィンは2弦ベースとドラム、バリトンサックスという変則なロック・トリオ。リーダーでベースのマーク・サンドマンの死によって自然消滅してしまったため、ニューアルバムは出るはずがないのです。さて、この内容ですが、2枚組のCDにライヴ音源が8割、残りの2割が既発表の別テイクという構成。超重低音のうえ、最小限の楽器アンサンブルに詩の朗読に近いようなマークのヴォーカルがとても幽玄でしびれます。真夜中の地下室であぶない雰囲気の中、あぶない音楽が鳴り響く、そんな感じ。これはクセになる音です。

2010年10月6日(水)
バロック音楽ではありません 〜 大西順子/バロック

このジャケット・デザインからして絢爛豪華な印象を受けます。タイトルは「バロック」。トランペットやトロンボーンなど3管ホーンを従えたうえ、なんとベーシストが二人という不思議な編成から室内楽的な音を想像していましたが、とんでもない!。なんとも荒々しい、時代と逆行したような中身でした。トロンボーンなんか、もうむちゃくちゃで、音が外れる寸前まで吹きまくっています。テクニックのある人たちがテクニックど返しに吹きまくってる感じです。曲調がちょっとラグタイム風のものだったり、デューク・エリントン風だったりするところが「バロック」なのかな。平凡な日々に刺激がほしい方にはいい毒になると思います。

2010年5月19日(水)
「はなうた王子」ここに極まる〜 Rufus Wainwright/All Days Are Nights: Songs for Lulu

ボクが注目する現代のS.S.W.、ルーファス・ウェインライトの新作です。前作オリジナルアルバム「Relese the Star」からライヴを2枚挟んでのスタジオ作ですが、雰囲気がまるで違います。今回はほぼピアノのみの伴奏で、お馴染みのあの「はなうた」が朗々と続きます。どうも間に挟んだジュディ・ガーランド・トリビュートなんかの流れなのでしょうか、これはロックやポップスとは言えない、むしろ映画音楽的な内容になっています。聴いているうちに深い悲しみの底に引き込まれるような、そんな憂鬱なものも感じます。デヴィッド・シルヴィアンと一緒にすると叱られるかもしれませんが、二人の新作に共通するのが、詩の朗読風というやつですか、メロディもリズムも関係ないってな感じです。多分奥が深いんだろうな〜。

2010年5月17日(月)
変らぬOnlyOneの個性 〜 SADE / Soldier of Love

シャーデーの新譜をやっと手に入れました。初めて彼らの曲を聴いたのが85年、彼らの2nd「Promise」だったから、もう四半世紀。あの時と変らぬ個性を聴かせてくれます。シャデーはシャーデー・アデュのヴォーカルを中心に男性3名のバンド。デヴュー以来変らぬメンバーで変らぬクオリティーを保っている。ちなみにこのバックの3人は「SweetBack」という別名義の活動もしていて、そこでは色んなヴォーカルを試している。これだけ長くヒット・メーカーとして君臨していると、同じようなまねっこバンドが出てきそうだけど、やはりこのシャデー・アデュの声はOnly Oneですね。彼女の醸し出す雰囲気は誰も真似できません。これはぜひ買いです。

2010年4月27日(火)
この歳になってから聴いて良かった 〜 The Band / The Last Waltz

1976年、Thanksgiving Day、サンフランシスコで行われたザ・バンドの解散コンサートの模様を映画化した、超有名な作品を今頃聴いたのか?と言われると恥ずかしいが、つい先日聴いた。いや〜いいね〜・・。でも、今、この歳になって初めてこれを聴いて良かったと思う。ザ・バンドにしても、ジョニ・ミッチェルにしてもニール・ヤングにしてもおじさんになってから聴きだしたし、ヴァン・モリソンがいいな〜と感じるようになったのは去年あたりから、はたまた、ディランに至っては未だに良さが分からないと来ている。これを若造のボクが聴いたら、ふ〜んで終わっていただろう。物事には順序があるものだとつくづく感じる。このコンサートを映画にした監督のマーティン・シコセッシはちょっと前、ストーンズのコンサート・ムービーを作ったことで再認識したけど、彼の原点がここにあったこともこれで知ることができた。なんとも渋い大人のレイド・バック・ショウという感じで、R40指定したいほどです。

2010年4月26日(月)
ファンキー路線へ転換か 〜 John Butler Trio / April Uprising

オーストラリアのオルタナ・バンドの新作です。ボクにとっては彼らのデヴュー作以来なので、どんな経緯を経てバンドのイネージがここまで変化したか分からないけど、デヴューと比べると悪い意味で洗練されてしまっている感じがする。アルバム全体がとてもまとまっていて、個性が失われていて惜しい。デヴュー作はもっと荒削りで、例えればジョンスペをちょっとマイルドにした感じの良い意味での荒玉がいくつかあり、それがアクセントになっていたのだが、新作はん〜・・これ誰?って感じです。こっちの方が受け入れられやすいとは思うけど。ボクの好きなスピン・ドクターズが同じような路線で刺激がなくなってしまったので、同じ轍を踏まないでほしいな。ギターはホントうまいので今後に期待しています。

2010年4月16日(金)
無国籍なサウンド 〜 Alamaailman Vasarat / Huuro Kolkko

なんだかヘンな連中です。アラマーイルマン・ヴァサラットと読むらしいですが、aaやuuが重なってたりして、これって何語?と思って調べてみると、おそらくフィンランド語らしい。らしいというのは、この人たち(グループです)がフィンランドのバンドだからです。音の感じは、ロマ風というかバルカン風というか、トルコ風というか、何しろブラスと弦とパーカッションのドンチャン騒ぎといった感じ。日本で言えばシカラムータのような無国籍ぐあいです。でも他のこの手の連中と比べれば、曲のまとまりもあるし、民族音楽っぽくもないし、比較的聞きやすいのではないでしょうか。
ちょっと変ったハードな音楽を求めている人には響くと思います。

2010年4月12日(月)
アメリカの陽気なハーモニー 〜 Hudson Shad Concert at SEISEN-RYO

昨日、清泉寮でコンサートがあったので行ってきました。ハドソン・シャッドという男声ヴォーカル・アンサンブルの楽しいコンサートでした。日本でも少し前、ゴスペル・ブームがあって、ゴスペラーズのようなヴォーカル・グループも珍しくはありませんが、この人たちはそれとは一味違いました。まず、それぞれがオペラもやるような本格的な声楽家ぞろいというところ。言うなれば、合唱団のカジュアル版といった感じです。歌の上手さハーモニーの素晴らしさに加えて、コメディの要素もあり、ステージは大盛り上がりでした。アメリカの古いポピュラー音楽をコミカルに聴かせてくれました。思いがけず素晴らしい体験をさせてくれました。
詳しくはhttp://www.hudsonshad.net/

2010年4月10日(土)
悲しみが伝わるメロディ 〜 Corinne Bailey Rae / The Sea

事のいきさつを知ってて聴くのと知らずに聴くのとでは、これほど印象が違うものかと自分の審美眼を疑ってしまう。このジャケ写からもメランコリックなものが伝わるけど、デヴュー作が400万枚も売れたイギリスのブリット・ソウルの新星という颯爽とした雰囲気は伝わってこない。それもそのはず、このセカンドの製作中にサックス奏者でもある夫を亡くすという悲劇を通過しての作品と聞く。1曲目から、なんとなく胸を締め付けられるようで・・・。ある意味内省的でもあり、円熟味を帯びたダイアナ・ロスのような貫禄すら感じさせる雰囲気は、人生のひだがなせる業か。これはなかなかです。

2010年4月7日(水)
誰も知らないヘンなジャズ 
    〜 Mungolian Jet Set / Beauty come to us stone

このアルバムを持っている人は、なかなかいないんじゃないかな〜。それほどヘンなんです。これは北欧の人気レーベルジャズランドから出ているので、新しいクラブ・ジャズを標榜している作品であることは分かるんですが、内容が何とも不思議なんです。何が不思議かと言えば、このバンドの主体は誰?というところ。リズム隊はあのアトミックのラヴ&フラーテン、ピアノもヴィークだしほとんど一流ジャズ・マンが固めているのに、ヘンな呪文やら民族音楽のサンプリングで訳の分からない展開で演奏されています。「もう聴いてられんわ!」とスイッチに手を伸ばすと、心地いいフレーズが出てきたり、またそれがかき消されたりとおちょくられてている間に終わっています。ジャケの写真もメンバーなのか、昔のフーマンチューみたいなのが写っています。ヘンな音楽好きな方、お譲りしますよ。

2010年3月28日(日)
詩の良さが胸に突き刺さる 〜 Aqua Timez / The Best

最近、息子たちが揃ってipodを買ったせいで、やたら我が家ではJポップが流れています。以前ここで紹介したGreeeenから最近はファンキーモンキーベイビーズなんてのも流れています。それらの中でもボクがじっくりと耳を傾けてしまうのがこのAqua Timezです。なんだか詩がとっても良くて、心に突き刺さるところがあります。曲のアレンジは誰がやっているのか、海外の新しいフレーズや展開をうまく取り入れていて、そのあたりのセンスの良さも感じます。最近はサビから始まってラップでつなぎ、またサビで盛り上げる手が氾濫していて、歌詞も単純な「キミを守りたい〜」なんてのが多くて、ちょっとウンザリでしたが、彼らは意外と聴かせてくれます。これはプロダクションの技か彼らのアーティストとしての力なのかは分かりませんが・・・。でも、なかなか良いです。

2010年3月25日(木)
脱アバンギャルド 〜 Roxy Music / Manifesto

ロキシーの79年の作品。ボクの好きなアルバムのひとつです。ロキシー・ファンにとっては賛否が分かれるところですが、このアルバムを境にしてこのバンドは退廃的なスタイルを少しづつ脱ぎ捨てて、ソフト・プログレ風路線に展開していきます。これ以前にフィル・マンザネラやイーノらが801バンドで試みた音楽の方向性が、ブライアン・フェリーのポップ路線と共鳴しながら、耽美な最終作「アバロン」へ向かう、これは序章としての位置づけとなります。ロキシー・ミュージックの入門編としてはこのアルバムがちょうどアバンギャルドとポップの中間点で分かりやすいと思います。

2010年3月23日(火)
アンダーグラウンドから 〜 Antony & The Johnsons / The Crying Light

「怖いもの見たさ」というのが誰にもありますが、このアントニーもボクにとってはその一つでした。通称アングラと呼ばれる世界から発信される音楽が、どれほど退廃的な物なのか・・・?とドキドキしながら聴いてみたら、これがナント美しいことか!。とかく両性具有だの、来日時にはアングラ劇団と競演だのと、そっちの方へ話題を持って行くもんだから、どうも偏見が先に立っていました。メロディーも上質だし、雰囲気も実に耽美で彼(彼女?)の微妙なファルセットが実に生きています。ヴェルベット・アンダーグラウンドから始まり、ルー・リードが引き継いできたニューヨーク・シーンに新たなスターの誕生です。

2010年3月19日(金)
初期クリムゾンのようなバンド 〜 Do Make Say Think / & Yet & Yet

ギター、ベース、ドラム、キーボード、ヴォーカルといったところがロック・バンドの典型的な楽器構成ですが、そこに、サックスなどの管楽器が入ると、ちょっとジャズっぽくなります。初期のキング・クリムゾンの独特な退廃的サウンドはこれら管楽器によるものが大きかったと思いますが、このバンドもそんな感じです。ただし、ヴォーカルはありませんから、よりジャズに近く聴こえますが。ゆっくりとしたテンポから徐々に盛り上がり、最後は大音響に・・・というポスト・ロックのひとつのスタイルを示しています。クリムゾン・ファンも方にはぜひお勧めです。

2010年3月18日(木)
オーケストラとの競演がよく似合う 〜 The Cinematic Orchestra / Live at Royal Albert Hall 

ロック・バンドがオーケストラと競演する例はこれまでいくつかあります。古くはディープ・パープル、EL&P、日本ではX-JAPANなんてのもありましたが、どれを取ってもオーケストレイションを効果的に生かせているとは言いがたかったりして・・。でも、このアルバムは良くできています。ボクの好きなクラブ・ジャズ・バンド、シネマティック・オーケストラとロンドンのヘリテージ・オーケストラの競演です。会場もオペラなどのロイヤル・アルバート・ホールときたら気合が入りまくっています。もともとこのバンドは映像を想起させるような音世界を展開するのにオーケストラを効果的に入れていたので、ライヴでも違和感がありません。なにしろカッコいいです。ぜひ聴いてみて!

2010年3月16日(火)
ジェネシスの最高傑作 〜 Genesis / The Lamb Lies Down on Broadway

1974年、ピーター・ガブリエル脱退前夜のジェネシスの最高傑作と言われる作品です。確かに気合の入り方が半端ではありません。スタジオ録音の2枚組というヴォリュームからも彼らの充実ぶりが伺えます。このグループの幸運なところは、ヴォーカルで中心人物だったガブリエルが抜けたにも関わらず、外から新たなヴォーカルを迎える必要がなく、声の質が良く似たフィル・コリンズが残ったことにあると思います。80年代に入ってのジェネシスはフィル・コリンズのバックバンド的になり、商業的な成功は納めるものの、この頃の底知れなさは影を潜めてしまった感はありますが。ボク個人としては、この直後のライヴ・バンドとして一世を風靡した頃の彼らが一番好きですが、いかがでしょうか。

2010年3月15日(月)
高い次元のサンプリング 〜 Carl Craig&Moritz Von Oswald / Recomposed : M.Ravel&M.Mussorgsky

ん〜、これはどう表現したら良いものか・・・・?。このジャケットを見てクラシック・ファンの方はピンとくるかと思いますが、音源は確かにベルリン・フィルのものです。演目もラベルの「ボレロ」やムソルグスキーの「展覧会の絵」などと馴染み深いものですが、それを2人のテクノの天才が調理しています。たぶん、ここで想像されるのは、あの印象的なメロディーが散りばめられたなんちゃってテクノ・クラシックでしょう?、ところが内容がどうも違うのです。かなりの几帳面さで下ごしらえされた料理のように、素材そのものが目(耳)にダイレクトには入らず、にもかかわらず、その素材を食べている感覚は鮮明に残る、そんな表現なのかな・・。Recomposedというタイトルが自信のほどを伺わせます。ブライアン・イーノの音世界に通じるものがあるかな。ふわ〜っと春の陽だまりで聴いていると、なんだか気持ちよくなるそんな作品です。

2010年3月12日(金)
スーパーギタリストがまた一人 
        〜 The Derek Trucks Band / Already Free

先日ここでも紹介したジョン・メイヤーと元レッチリのジョン・フルシアンテ、そしてこのデレク・トラックスを誰が読んだか現代の3大ギタリストらしいです。オールマン・ブラザースで若くしてギタリストとしてデヴューし、名前はデレク&ドミノスから、そしてデュアン・オールマンばりのスライド・ギターが得意ときたら、もう伝説の1ページを記録しているといっても過言ではありません。フィンガー・ピッキング・スタイルもボクのお気に入りのひとつです。ジャズもブルースもやるあたり、ちょっとロベン・フォードと重なりますが、歌わないのが大きな違いか。なかなか聴き応えのあるアルバムです。

2010年3月11日(木)
日本のクラブ・サウンドの草分け 〜 コーザノストラ /  World Peace

カタカナ表記にしようか英語(Cosa Nostra)にしようか迷いますが、このアルバム後からはカタカナの方が通りが良いようなのでそうしました。95年の彼らの5枚目(初期のコンピレーションを含めて)の作品になると思います。日本のクラブ・サウンドの草分け、桜井鉄太郎の主催するプロジェクトとして始まったものが、鈴木桃子と小田玲子の女性ヴォーカルを中心としたバンドに発展して、この作品で大きくメジャーとして注目されることになりました。全編英語歌詞の国内ミュージシャンはなかなか売るのが大変な時代に、それに挑戦し、し続けたことはすごいことだと思います。鈴木桃子のキュートな声とキャッチーなメロディーでこの作品が頂点だったと言えます。この後も何枚かアルバムを出していますが、時代が彼らを追い越してしまった感じもします。ドライヴのお供に、とても気持ちのいい作品です。

2010年3月8日(月)
たまにはこんなのどう?〜 The Black Keys / thickfreakness

むしゃくしゃした時、どんな音楽を聴いていますか?ボクはこのブラック・キーズなんかを聴いてぶっ飛ばしています。このバンド、ドラムとギターの二人だけでヴォーカルはギターが担当と、いたってシンプルな構成。にもかかわらずガーンとストレートなロックを聴かせてくれます。最近は音が溢れすぎていて、かえってシンプルにする方が難しい世の中。彼らは実にシンプルです。ガンガンギターを弾いて、バンバンドラム叩いて、歌いたいように歌う。昔のジミヘンを思わせる迫力です。変にこねくり回したような音楽に飽きた時は、一度こんなかつてブルースが目指していたような音を聴くのもいいものです。車に乗りながら窓全開、ヴォリューム全開で聴いてみてください。世界が変わります。

2010年3月4日(木)
アルゼンチン音響系の中心人物 〜 Alejandro Franov / Digitaria

なんだか怪しいジャケ写真です。中身を知らなければ多分誰も手を出さないでしょう。アレハンドロ・フラノフというアルゼンチンのミュージシャンの新作です。国内盤が出ていると言うことは日本国内でも多少は認知されてきていると言うことでしょうか。以前もここで紹介したフアナ・モリーナと同じアルゼンチン音響系と呼ばれるジャンルの中心人物でもあります。フワフワとしたアンビエントな雰囲気がこのジャンルの特徴ですが、そこにアルゼンチンならではのフォークロアがからみ、独特な雰囲気を醸し出しています。デジタルのような生音のような、メロディーがあるようなないような、ビートがあるようなないような・・・複雑な要素を曖昧に構成したような不思議さが印象的です。お天気がいまいちの今日のような日には持ってこいです。

2010年3月3日(水)
几帳面なほどの音の繊細さ 〜 toe / For Long Tomorrow

日本を代表するポストロックのバンドになりました。toeのニュー・アルバムです。この人たちの音楽はこのジャケットが物語っているように、ひとつひとつの音の紡ぎ方がとても繊細なのです。複数のギターが別々なフレーズを爪弾きながらそれが一つのメロディーになり、そこにいつもの手数の多いドラムが絡んで彼ら独自の世界へ引き込みます。今回はクラムボンの原田郁子もちょっと参加してたりと、このジャンルとしてはメジャーな方向へ向かっているようです。彼らのような緻密な音楽はぜひライヴで聴いてみたいのもです。ドン・キャバレロほどアグレッシヴではないけど、モグワイほど内省的でもないというのがボクの見方です。

2010年2月26日(金)
今も大好きな名曲 〜 The Cars / Heartbeat City

1984年のカーズの2ndアルバムです。この頃のアメリカのポップスってすごかった。MTVの全盛期ともあいまって、インダストリアル・ロックの誕生の頃である。このカーズもそれほど名曲ぞろいとは言えないものの、ナントもいえないコケティッシュなスタイルで、この頃ピークを迎えていた。ボクはその中でも最も彼ららしくない名曲「Drive」が今でも大好きだ。これは想像だが、大沢誉志幸の「そしてぼくは途方にくれる」はこの曲をモチーフにしたんじゃないかな?。Who's gona・・・のセンテンスで淡々と綴られるラヴソングは今もまだ新鮮な輝きを放っています。ご存じない方はいないでしょう?

2010年2月18日(木)
「時をかける少女」は時代をかける 〜 原田知世 /  eyja

原田知世です。そう、あの「時をかける少女」です。この人もコンスタントにアルバムを出していて、内容的にはかなり玄人好みの作品を作り続けています。一時期は、スウェーデンのトーレ・ヨハンソンをプロデューサーにして、当時の最先端の北欧スタイルでエンヤあたりが作ったムーヴメントにうまく乗り、今回はアイスランドのムームを起用して新たな挑戦をしています。ムームはクリック&ノイズの先駆者でマドンナなんかも手を出したほどの売れっ子ミュージシャンです。よくぞ、見つけてきたものです。内容的には、彼女の澄んだ歌声を生かした北欧路線は変わりませんが、今回は少しビートを押さえたしっとりした作品になっています。そう、原田知世と聞いて侮るなかれ!です。彼女は時代をかけ抜けています。

2010年2月17日(水)
この人、タダ者ではないようです。〜小島麻由美 /  愛のポルターガイスト

CDジャーナルで特集が組まれていたので、恐る恐る聴いてみました。菊池成孔や梅津和時なんかを従えて・・なんて聞くと、どんなアバンギャルドなおねえちゃんかと思ったら、どこにでもいそうなOL風な風貌に、声も昔の中原めいこみたいな甘ったるさで、思っていた感じとは全然違いました。ちょっとデカダンスなキャバレーで流れていそうな曲調に、舌ったらずなヴォーカルがアンバランスでそれが彼女の魅力なのかもしれません。曲のアレンジは斬新で驚かされますが、どうもボクには彼女の声がひっかかります。でも、こんな人がいたんですね、日本のポップス・シーンにも。結構、これは新鮮な驚きです。

2010年2月16日(火)
イスタンブールの薫り漂う 〜 Mercan Dede /  Su

メルジャン・デデと読みます。東と西、欧州とアジアが出会い、交わる都市イスタンブールが生んだトレンド・メーカーです。トルコ伝統のスフィという宗教音楽を下敷きに、西洋のデジタル・テクニックを融合させ、独特なサウンド・スケープを聴かせてくれます。もう10年以上前からロンドンやパリあたりでは注目されて数枚のアルバムを世に出してきましたが、日本で本格的に紹介されたのがこのアルバムからでしょうか。この「Su」という作品は彼の作品の中でも比較的明るく、聴きやすい内容になっています。アンビエントな空間に彼の吹く伝統楽器「ネイ」がイスラムの雰囲気を醸し出しています。何か新しい刺激的な音楽を探してる方にはワールド・ミュージックの入門として面白いかもしれません。

2010年2月15日(月)
ジャズ路線からまた一歩踏み出した 〜    
            Elizabeth Shepherd / Heavy Falls the Night

ボクが注目しているジャズ・ヴォーカルの一人、エリザベス・シェパードのニュー・アルバムです。これがメジャー3作目になります。デビュー・アルバムでトリオとして聴かせてくれた内容とは離れ、ジャズ志向のかなり薄い作品になっている。彼女の才能を際立たせたい作り手の思いは伝わるのだが、どうもそれが裏目に出つつあるように思える。内容的にはとても良いんですよ。曲もバラエティに富んでいて、聴きやすいし、よく出来ていると思います。でも、ジャズ本来にあるインタープレイのドキドキ感のようなものが全部封印されていて、面白みに欠けるというのがボクの印象です。ここまで書いておいてなんですが、本当に内容はOKです。ノルウェーのビーディー・ベルを知っている方は、まさしくそんな感じです。

2010年2月12日(金)
新たなギター・ヒーロー発見!〜 John Mayer / Continuum

ボクは全然知りませんでした。こんなにすごいギタリストがいたなんて。このジョン・メイヤーという若者は次世代を担うギター・ヒーローのひとりであることは間違いないでしょう。このアルバムを聴いているだけでは彼のすごさは感じられないので、Youtubeで彼を見てみました。これがスゴいんです。エリック・クラプトンとクロスロードやってたり、ジャズスタイルのトリオでやったり、圧巻はアコースティック・ギター1本で超満員のオーディエンスを沸かせるところです。ギターの腕、特にフィンガーピッキングの名手としてもすごいけど、声もまた渋く、なかなかこんな逸材はいません。少しの間、彼にはまりそうです

2010年2月10日(水)
洗練された音の粒に驚かされます 〜10cc / The Original Soundtrack

1975年の作品です。10ccと言えば今やスタンダードといえる名曲「アイム・ノット・イン・ラヴ」ぐらいしか浮かんでこないかと思いますが、その曲が収録されているのがこのアルバムです。「オリジナル・サウンドトラック」と言ってもこの映画が存在したわけではなく、映画音楽的な状況ミュージックを作ってしまった、というのがこの作品です。確かに様々な効果音が零れ落ちるように散りばめられていて、75年の録音技術とは思えないクオリティーの高さです。ボクはたまたまリマスター版をイヤホンで聴いたのですが、音がどこから現れて、どこへ消えていくのか予測できないほど、そんな驚きに満ちた作品です。人を食ったようなコケティッシュさが彼らの持ち味なので、そんな感じが苦手な方にはあえて勧めませんが・。

2010年2月6日(土)
2009年一番良く聴いたアルバム 〜 V.A. / Dark was the Night

昨年のベスト・アルバムは?のところで、さらりと触れるだけで済ませてしまったので、一応ちゃんと上げておきます。そうこれが、ボクの2009年ベスト・アルバムです。いろんなミュージシャンのオムニバスです。参加しているミュージシャンがまずすごい。「今」のミュージック・シーンを象徴するようなメンツばかりです。アントニー、アーケイド・ファイア、ベイルート、デヴィッド・バーン、ダーティ・プロジェクターズ、グリズリー・ベアー、アイアン&ワイン、マイ・モーニング・ジャケット、スフィアン・スティーブンス、ヨ・ラ・テンゴなどなど。このラインナップを見ただけでもよだれが出る方もいるのでは・・・。2枚組みでこれだけ盛りだくさんに様々なスタイルが聴けるというのはすごいことです。「今の音楽って、どんな感じ・・・?」なんて思ってるあなた、これを聴けば聴いたような顔ができます。

2010年2月4日(木)
ハードロック少年時代を思い出して 〜 Deep Purple / BURN

ちょうどボクが中学生の頃、このディープ・パープルのちょっとしたブームがありました。ギターがリッチー・ブラックモアからトミー・ボーリンに代わった第4期と言われるころだと思います。今も大切に保管している写真集なんかも購入するほどファンでした。彼らのフィルム・コンサートを初めて見に行った時、カリフォルニアのどこかの公演だったと思うんですが、1曲目がこの「BURN」でした。第3期になり、ヴォーカルとベースが代わっての初めてのステージのようでした。デヴィッド・カヴァーディルが初々しかったのを憶えています。パープルと言えば、第2期のイアン・ギランの雄たけびとリッチーのギターと相場は決まっていますが、このアルバムもこれまでになくファンキーでなかなか良いです。今の若い子はこんなの聴かないのかな・・・?

2010年2月3日(水)
ハイセンスなブラジルから 〜 Jairzinho Oliveira / dis'ritmia

今月の我が家の音楽イベント「Night Tales」のテーマは「MPB〜ブラジルのポピュラーミュージック」です。そのなかで必ず登場するのがこのジャイール・オリベイラです。彼のバック・グラウンドに関しては「Night Tales」でお話するとして、このアルバムの中身ですが、ひと言で言って「シブカッコイイ」(こんな言葉あるかどうかわかりませんが)です。ライトなジャズ感覚のなかでボサノヴァっぽいメロディと彼の甘いヴォーカルがとてもオシャレに聴こえてきます。日本のポピュラーではあまり例えられないのが残念ですが、これぞ現代のブラジル・MPBと言えます。色んな音楽に聴き飽きてしまった、そんな耳の肥えた方にお勧めです。今はなかなか手に入らないかもしれないので、中古屋さんで見つけたら即買いです。

2010年2月2日(火)
Floyd名義でもかまわないのに 〜 David Gilmour / Live in Gdansk

デイヴ・ギルモアの最新のライヴ。ロシア、グダニスクの造船所跡で行われたとあって、のっけからなんとなく労働者階級の男臭さが伝わるようなオーディエンス・ノイズから始まる。サポートにリック・ライトが入っているのと、曲がほぼ90%フロイドの曲なので、ほとんどピンク・フロイドと名乗っても良いのではと思うんですが、これはギルモアのソロ・ライヴということだ。ヴォーカルのクオリティには目をつぶるとしても、やはりこの人のギターサウンドには独特の個性が感じられ、これもフロイドのなくてなならない素材と確信できる。サポート・ギターには贅沢にもフィル・マンザネラも名を連ねており、ギルモアのビッグ・ネームぶりが伺える。ピンク・フロイドの最新ライヴとしても十分聴き応えがあります。

2010年1月27日(水)
原曲の良さが際立つカバー 〜 V.A. /  くるり 鶏びゅーと

最近、こういうアルバムがたくさん出ています。あるアーティストの曲を様々なミュージシャンがカバーをする、これもそんな内容です。くるりをあまり聴かない人には逆に新鮮でしょう。ところがくるりをたまに聴くボクにも新鮮だから面白いです。いつもくるりを聴く時は、そんなに歌詞の内容に頓着していませんでしたが、このアルバムを聴いているとなぜか詞がよく耳に入ってくるのです。「こんな詞を書いていたんだ〜」とむしろ再発見させられました。くるりの音楽はやはり岸田くんのあの歌い方と共に「どろ〜ん」と流れていたんですね。他のミュージシャンが歌うとすごく聴きやすく、原曲の良さを確信します。参加ミュージシャンは、ユーミン、矢野顕子、奥田民夫、曽我部恵一、野寛など比較的大物?ぞろいです。

2010年1月25日(月)
彼女のリビングルームで聴くような 
        〜 Carole King / The Living Room Tour

ジェームス・テイラーとの来日でシンガーとしても健在ぶりを見るのが楽しみなキャロル・キングのライヴです。ニューヨークのミッド・タウンにある比較的新しいライヴ・スポット「リビング・ルーム」でのアット・ホームな歌声が聴けます。やはり年齢的なせいか高音域にやや不安はあるものの、それを補ってもあまりあるほどの熱のこもった名曲の数々に感動します。CD2枚組みですが、やはり圧巻はDisk2の"It's too late"〜"So far away"・・・"You've got a friend"〜"Locomotion"に続く名曲のオンパレードで、この人の音楽業界への功績を感じさせてくれます。ベスト・アルバムに匹敵する内容と、彼女の「今」を同時に体験できるおすすめの一枚です。

2010年1月18日(月)
テクニックに最もこだわっていた頃 〜 YES / Time And Word

これはイエスの2ndアルバムに当たる、スティーブ・ハウ加入前夜の作品である。ギターはトニー・バンクス、キーボードには後に一度出戻るトニー・ケイが在籍するオリジナル・イエスである。この頃のイエスは複雑なアンサンブルの曲を精力的に演奏しまくる、どちらかと言えばジャズ・ロック路線にも似た「技」偏重的なバンドである。特にベースのクリス・スクワイアがブリブリやっていて、ただでさえ手数の多い演奏スタイルにさらに油を注いでいる感じである。1曲目の西部劇風な音をモチーフにした曲からして後の彼らの作風とはかけ離れていて面白い。スティーブ・ハウが入ってからバンドは中世志向に移っていったのだとすれば、この作品がターニング・ポイントだったと言えよう。トニー・バンクスというギタリストもなかなかのテクニシャンですよ。これも驚きます。

2010年1月16日(土)
名演「ひこうき雲」をふりかえって 〜 荒井由美 / ひこうき雲

先ほどNHK-BS2で「荒井由美 ひこうき雲の秘密」という番組を見た。実に37年前のアルバム製作当時をふりかえるというものだった。ボクが初めてこのアルバムを聴いたのは19歳ごろだったと思う。ユーミンが「パール・ピアス」を出した頃、興味を持ち遡って聴いたのがきっかけだった。当時はなんだか暗くて、ちょっとくぐもった音に古さすら感じていたが、今日改めて当時を振り返りながら聴いてみると、とても洗練されたアレンジに現代にも通用するようなクオリティーがあったことを実感させられた。むしろ当時だったからこそ、これだけ凝った作りのアルバムができたのだろう。37年という時を経てもなお新鮮に輝くのはひとえに楽曲の良さなんだろうな。もう一回聴きなおしてみよかな。

2010年1月13日(水)
こんなオシャレなバンドがあったんだ! 〜 Flipper's Guitar / three cheers for our side 
                     海へ行くつもりじゃなかった
1989年、ボクはいったいナニを聴いていたんだろう?個々に一世を風靡したコーネリアスの小山田圭吾と小沢健二が在籍したバンド、フリッパーズ・ギター。正直言って最近までこのバンドの存在を知りませんでした。なんとなくジャケのセンスの良さからすると、ピチカート・ファイヴとかが全盛の「渋谷系」なんて言っていた頃かな?その頃ボクはたぶんオリジナル・ラヴを代わりに聴いていたのかもしれません。今聴いてみると、若い男の子たちが一生懸命に背伸びして彼らのオシャレを追及しているように聴こえます。全曲英語版は当時のドメスティックのレコード界では、さぞ売り難かっただろうな。今は現代音楽家のようになってしまった小山田君の原点がここにあったことは興味深いものがあります。そして最近あまり見かけないオザケンの原点には頷ける気がします。タイム・スリップしながら発見!そんな作品でした。
2010年1月12日(火)
ドラマティックにそしてヘヴィーに 〜 Elbow / The Seldom Seen Kid

エルボーというバンドは全然知らなかったのですが、R.E.M.とU2が合わさったようだ・・という批評を読んで聴いてみました。ん〜・・・、その形容はちょっと的はずれじゃない?。ボクが思うにこのエルボーは前出の2つのバンドとはインダストリアルな部分で全く違った印象です。なんやかんや言ってもキャッチーな曲を入れてくるバンドとは違って、このアルバムはトータル・アルバムとして聴かないと良さが分からないそんな作品です。でも、全体的に実にドラマティックに作られていて、昔のプログレっぽい雰囲気を持っています。ヴォーカルも渋いし、最近聴いた中では上々です。

2010年1月6日(水)
耳障りでないノイズのお手本〜 Epic45 / England Fallen Over

様々なスタイルのポストロックを聴いてきましたが、やはり落ち着くのがこの手の音です。ボーズ・オブ・カナダやUlrich Schnaussあたりの浮遊感と似ていますが、音のアイデアはこのEpic45の方が一枚上手かな。イヤホンで聴くと音の立ち上がりやノイズの使い方がとても新鮮です。ム〜っと唸りたくなるような展開です。ポストロックってナニ?と思われる方、これから聴いてみてはどうでしょうか。

2010年1月5日(火)
新しい才能に出会いました!〜 Sufjan Stevens / ILLINOISE

アメリカの各州を題材にしたアルバム。これは「イリノイ」で、前作は「ミシガン」。その上このアル・カポネとシアーズ・タワー?のとぼけたジャケットときたら、てっきりジャズ系のオジサンミュージシャンの変な趣味かと思っていました。ところがこのスフィアン君はまだ30代の若手ミュージシャンでほとんどの楽器を自演してると言うから驚いた。曲のアレンジも素晴らしく緻密で、ハリウッドのミュージカル音楽を聴いているかの優雅さです。これほどの才能との出会いは最近ではルーファス・ウェインライト以来かもしれません。このまま州シリーズを続けて行くかと思いきや、もう飽きちゃったみたいで、このあたりも若さを感じます。初春にふさわしい、清々しい作品です。

2010年1月1日(金)
A Happy New Year 2010 〜 松任谷由実 /  昨晩お会いしましょう

新しい年を迎えるたびにこの曲を思い出します。「A Happy New Year 〜 今年も最初に会う人が、あなたであるように、早く早く・・・」このフレーズを聴くとなんだか胸が締め付けられます。ユーミンもこの頃が最も時代の先端を走っていた時代じゃないでしょうか。ジャケットデザインやタイトルもあえて大衆性をはずして、かなりアーティスティックなユーミンを感じます。この後あたりからでしょうか、キャッチーな売れ線に走るのは。消費される音楽の先頭を走ってしまったような観がありました。でも最近は少し昔のユーミンに戻ってきたような気がします。「そしてもう一度夢見るだろう」はなんとなくタイトル的にも似てるような気がします

2009年12月24日(木)
2009年ベストアルバム・・? 〜 Joe Henry / Blood from Stars

今年もあと数日で終わりを迎えるなか、各音楽誌の今年のベストが出揃いました。ミュージック・マガジンのベストはこの作品が選ばれていました。ボクもジョー・ヘンリーは好きで出ると必ず聴いていますが、まさかこの作品がベストとは?と言った印象です。確かに彼の作品はone & onlyな個性に満ち溢れていて素晴らしいのですが、数年前「Scar」というアルバムを聴いたときの衝撃以上のものは感じられません。
さて、ボクの2009年ベスト・アルバムですが、一番よく聴いたということで言えばオムニバス・アルバムではありますが、
「Dark was the night」でしょうか。2枚組で今注目の、そしてこれから花開きそうなミュージシャンを揃えた、とても旬な作品です。このアルバムは決して買って損はしません。

2009年12月18日(金)
様々な顔を持つ才女 〜 Meshell N'degeocello / Devil's Halo

ミシェル・ンデゲロチェロとカタカナ表記されています。このラストネームからアフリカンを連想させますが、実はベルリン生まれのアメリカ人らしい。ンデゲロチェロは言わば芸名でfree like a birdという意味があるそうです。そんなことよりこの中身ですが、もともと彼女はジャス・ベーシストでありながらシンガーでもあり、その上、アルバムによってどちらかに徹することもできる才女でもある。どっちもできると、ついつい両方を見せたくなるけど、この人はアルバムのカラーに徹するからすごい。なので彼女のアルバムは全然統一感がありません。ヴォーカルばかりでベースをほとんど弾かない「Bitter」は最高でしたが、ほとんどベースしか弾かない「Spirit music・・」も最高です。これはその中間的でまた違った彼女が聴けます。どう薦めたらよいのかホントに困ります。

2009年12月17日(木)
コスモポリタンな作風です 
      〜 Oi Va Voi / travelling the face of the globe

ロンドンを中心に活動するミクスチャー・ロックバンドの最新作です。国籍不明、意味不明な、およそイギリスからの作品とは思えなかった過去2作品と比べると、比較的上品にまとめられています。音楽の世界旅行といったコンセプトだったのか、ジャケットも世界の各地のイラストが散りばめられ、コスモポリタンな印象を受けます。でも、トゲがなくなった分だけ聴きやすくなり、ちょっとイージー・リスニング的に流れてしまった観は否めません。3枚目にして売れるアルバムを期待されてしまったのかなあ・・・。Oi Va Voiの入門編としてはこれをお勧めします。

2009年12月9日(水)
はたしてヴードゥーを超えられたか〜
             Q-tip / Kamaal the Abstract

ボクはあまりヒップ・ホップやラップは好きじゃないので聴かないんですが、ディアンジェロの「ヴードゥー」だけは昔の表現で言うならば擦り切れるほど聴きました。ジャズとヒップ・ホップのディープな交わりを感じて、いまだにこれ以上の作品に出会ってはいません。さてこのQ-tipの作品、ある雑誌で「ヴードゥーを超えた!」などと書いてあったのでついつい買ってしまった。聴いてみると、なるほど、言ってる意味は分かる気がするが、「超える」はちょっと言い過ぎ。確かに退屈なビートや月並みなラップはなく、バックを固めるのはジャズ・ミュージシャン、と非凡であることは認める。ボク個人的には「ヴードゥー」のあのアンダーグラウンドな感じを期待していたのでちょっと???です。ちょっと明るいかな

2009年12月2日(水)
Jazzyではないノラ・ジョーンズです。〜 Norah Jones / The Fall

ノラ・ジョーンズの最新作です。彼女のデビュー・アルバムのイメージを持って聴くと多分がっかりすると思います。今回はJazzyな雰囲気をやめてロック・ビートをバックにゆるりとしたガレージ・ロック風です。トータルなアルバムとしての価値を考えれば彼女の今回のアプローチはOKじゃないかと思います。Jazzy路線で行くとどうしても「シンガー」としての価値しか認めてもらえず、挙句の果てにはスタンダード・カバーを歌うはめに陥りかけない危うさがあります。このアルバムではほとんどの曲を彼女自身が書いています。ところでこの「The Fall」を買うのなら輸入盤をお勧めします。なぜならN.Y.のバー「リビング・ルーム」でのライヴがボーナスCDとして付いているからです。これがまたオマケとは思えないほど良いです。ちょうど円高だし、輸入盤をぜひお求め下さい。

2009年11月25日(水)
新しい「古き良き形」 〜 財津和夫 /  ふたりが眺めた窓の向こう

なんと財津さんのニュー・アルバムです。先日、NHKのSONGSを見ていたら、今回は相当気合が入っているようだったので聴いてみました。古き良きニュー・ミュージックのスタイルの継承、そんな印象を持ちました。「キミとボク」というテーマで、とてもかつ舌を意識した歌い方は昔のチューリップ時代と変らず財津さんです。今回は小田和正から贈られた曲も歌っています。それにしても、いつも気になるんですが、財津和夫と小田和正の関係ってそんなに小田さんのが偉いの?SONGSの中でも「小田さん」、「財津くん」と呼びあっていましたが、二人は同級生ですよね。キャリアとしても財津さんがへつらうような位置ではないような気がするんですがどう思います?内容とは関係ありませんが・・。

2009年11月19日(木)
ナンだこの変態アルバムは! 〜 Frank Zappa / Guitar

なんちゅう変態アルバムなんだ、これは!。ザッパのライヴ、それもソロ・ギターの部分だけ抜き出して並べたアルバムである。それも2枚組。それにしても、これを購入したヤツも相当な変態だ!(ボクですが・・)。ザッパのギターは賛否両論、最高のギタリストと呼ぶ人もいれば、手癖だけで弾いてるだけじゃん、と言う人もいる。全体を聴いてみて(相当の忍耐を要する)の感想だが、確かに手癖はすごい。でもここまで手癖だけで弾きまくるというのはもっとすごい!曲がほとんどないのでメロディーが全然分からないが、確かに彼のギターは歌っています。このアルバムはあえて、お勧めしません。修行がしたい方には止めませんが。

2009年11月18日(水)
不思議な吸引力があります。〜 斉藤和義 /  月が昇れば

「ボクのお家に帰ろう〜」とCMソングでボクも知ったのですが、斉藤和義の新譜です。この人は独特な世界観を持っています。ちょっと遅れて来たボブ・ディランのような。この手のシンガーは日本中の路上で掃いて捨てるほどいるように見えるんですが、何だか不思議な吸引力があるんですね。清志郎にトリビュートを込めた曲も、なんとも彼らしい自己解釈的なニュアンスが伝わってきて興味深い内容です。コブクロも同じように清志郎について歌っているけど、彼らはもうちょっと世間の目を気にしての作品に思えます。聴きこむほど味が出る、そんな魅力が斉藤和義にはあるような気がします。

2009年11月17日(火)
日本人離れしたタイム感 〜 大西順子 / 楽興の時

ヴィレッジ・バンガードの〜っていうタイトルが付いたジャズの名盤がありますが、日本人でこの人くらいなものじゃないでしょうか、そこに名を連ねて恥ずかしくないのは。この最新アルバムはしばらくブランクがあっての発表ということで注目を集めていましたが、聴いてみて新たにこの人のすごさが分かりました。女性とは思えないほど挑みかかるようにアグレッシヴなタッチに加え、左手のタイム感が独特です。あたかも左手と右手が別人格であるかのような不安さから、いきなり完璧な調和へ移る躍動感は大西順子の個性だと言えると思います。久々に驚きを持って聴けるジャズ・アルバムです。

2009年11月16日(月)
注目の新人です。それにしてもこのバンド名はナニ?
〜 The Deerhunter / Microcastle&Weired Era Continued
最近の注目のグループです。ガレージっぽい荒削りなアプローチですが、このジャケットのようにちょっとミストがかかったような独特な味付けが彼らの持ち味のようです。それにしても最近のバンド名って「あれっ」と思うようなベタな物が増えてきたように思えます。この「ディアハンター」なんて思わずデ・ニーロの顔を思い浮かべてしまいます。それに「グリズリーベアー」なんてのもいます。彼らも注目されているんですが、これも同時代のアニマル・パニック映画を連想させます。ついでに、この「ディアハンター」は鹿撃ちですが、同名のバンドで「親愛なるハンター」なんてのもいます。日本にも「灰緑」なんていうどこの「馬の骨」だかわからないバンド名もありますが・・・。
2009年11月13日(金)
個性があるから生き残れる 〜 Savath & Savalas / La Liama

Prefuse73のスコット・ヘレンのもうひとつの顔、Savath&Savalasの最新作です。ラテン風味のエレクトロニカ・アンビエントがこのユニットの特徴でprefuse73とは曲の作り方といったところは同じかもしれないが、出てきたものは確かに別物になっている。この人ほど音の切った貼ったが大胆な人はいません。音のピッチが微妙にずれたり、リズムが途切れたり、そのあたりを計算ずくで作りあげるのが彼の真骨頂。この作品はジャケットのごとく南米風のフォークロアに聴こえてくる反面、緻密な打ち込みが妙な味を醸し出しています。もうひとつのサイドプロジェクトも含めて3つの個性を発揮し続けるのだから只者ではありません。

2009年11月9日(月)
イタリアのラッパーです。 〜 Jovanotti / Buon Sague 2005

イタリアの音楽事情はよく分かりませんが、このジョバノッティは大好きで数枚持っています。当然のことながらイタリア語のダミ声でマシンガンのように歌って?います。当然のことながらナニを言っているのかは分かりません。分かりませんが、音楽的にとてもノリが良く、何よりもセンスが素晴らしいので、見つけたら必ず買うようにしています。以前イタリアからのお客さんがいる時にかけたら「こんなところでジョバノッティが聴けるなんて!」と驚いていました。個人的にはこの「2005」よりも前作の「2002」の方がカッコいいと思うのですが・・。ところで、最近、アマゾンで最新作を見つけたので購入しようと考えています。またここで紹介しますね。

2009年11月7日(土)
最近どうしちゃったんだろう?田嶋くん。
           〜 Original Love / Rainbow Race

最近、新作が出ませんがどうしてるんでしょうか?。時代の音を敏感に自分の物にして、常に世界水準の作品を生み出してきた田嶋貴男の96年の作品。この頃はまだバンド・サウンドにこだわり、ちょっと黒っぽいファンク・ロックなナンバーが多く、ボクの最も好きなアルバムです。この後、オリジナル・ラヴは完全に彼の一人ユニットとなって行きます。ボクはほとんど全部のアルバムを持っていますが、一人になっての最高傑作は松本隆と作った「ムーンストーン」でしょうか。最近の2作「キングスロード」「東京飛行」ははっきり言って・・・?です。今後の彼の活躍に期待しています。

2009年11月4日(水)
怖いもの聴きたさから・・ 〜 Pink Floyd / Final Cut

事実上、ピンク・フロイドの最終作と言われる作品。「The Wall」で独裁的になってしまったロジャー・ウォータースがさらに他の3人を無視して作った作品だけあって、前作の延長の上、音楽的にはほとんど進歩が見られず、コンセプト過多に陥っている内容だ。音楽雑誌によると前作からすでにライトとメイスンは解雇状態で、ギルモアもソロ・パートしか演奏していなかったと聞くと、すでにこの時点でウォータースのソロと言っても良さそうだ。最終作って何だか怖くて聴けないんだよね。やはり全盛期のクオリティを求めてしまって。ツェッペリンの「In Through the out Door」なんかも怖くて聴いてないもん。ところでこの後のギルモアもフロイドもボクは意外と好きです。なんとなく雰囲気重視で。

2009年11月2日(月)
このジャケはいったいナニ? 〜 Level 42  /  Retroglide

レベル42の新作です。06年に出ていたんですね・・・、知りませんでした。国内盤は出ていないと思うんですが。94年の「Forever Now」以来だから実に12年ぶりの作品になります。ほとんど解散しているんじゃないかと思っていたのでちょっと安心しました。メンバーは91年の「Guaranteed」の時とほぼ同じですが、嬉しいことにオリジナルメンバーのブーン・グールドが一部ギターを弾いています。内容は91年からの延長線上にあるという感じで、マーク・キングのヴォーカルを生かしたポップ・ファンクと言った感じです。それにてもこのジャケはナニ?かけだしのフュージョン・バンドじゃあるまいし。30年選手なんだから、もっとこだわっても良いんじゃない?

2009年10月30日(金)
クラブ・ジャズもバカになりません 〜 Zehan&Kamien / FAKES

以前ここでも紹介したクラブ・ジャズの二人組みです。前の作品は、彼らがリミックスして作った音源をバンドで生演奏してみせたライヴ盤でしたが、今回は彼らの音源をジャズ・クインテットが再現したアルバムと彼らが古いジャズの名演を新たに料理したリミックスアルバムの2枚組みです。ビリー・ホリデーのDon't Explaineなどが彼ら独自の味付けで収録されています。ジャズの演奏自体はそれほど褒められた内容ではありませんが、ジャズをリミックスした音源をまた新たに生で再現するという試みが実に興味深く、音楽の多様性を感じます。ストレートなジャズはイマイチと言う方にはお勧めです。

2009年10月27日(火)
格調高きおとなのロック 〜 Emerson Lake & Palmer /  Works

このアルバムが出た時はこの格調高さに目がくらみ、内容をちゃんと聴かないまま「名盤」と決め付けていました。でも、大人になって聴いてみると、格調の高さは認めるけど「名盤」かどうかは?である。レコード2枚組でA,B,C面をそれぞれのソロ収録、そしてD面を3人で、という構成。D面の「庶民のファンファーレ」が好きだったので購入したのだが、全体的には退屈な作品である(ボクにとっては)。それにしても、この作品が全英9位、全米12位の売り上げを上げたと聞くと、クラシックに対する親しみの違いをとても感じる。日本ではほとんど売れなかったんじゃないかな・・・。もう少し聴き込んでみようかな・・・、そうすれば何か別の世界が見えてくるかな。

2009年10月24日(土)
YMOだかなんだか分からない。 〜 Sketch Show / Loophole

最近、再結成?されたYMOのロンドンと東京でのライヴを聴いたら、すごくミニマルで、テクノの発展系を見事に示しているような気がしたが、高橋幸宏と細野晴臣のこのユニットでも基本的にやっていることは一緒だということが分かった。彼ら自信もどこかで語っていたけど、SketchShowだったり、HASYMOだったり、色んな変名でやっていることが面倒くさくなった、ということでYMO再結成らしいけど、それは正解でしょう。このアルバムYMOです!と言われても、へー、っていう感じですから。カヒミ・カリィだと思うんだけどヴォーカル曲やインストを聴いているとほんと無国籍な感じだけど、彼らのオリジナリティである日本語が出てくるあたりで彼らの作品とやっと分かる感じです。以前も書きましたが、とっても大人です。

2009年10月23日(金)
静寂を創りだす音楽 〜 Mark Hollis /  Mark Hollis

静かな夜に一人だけで聴きたい音楽。このマーク・ホリスのソロ作はそんな作品です。もともとTalk Talkのヴォーカリストとして活躍していた彼がソロとして紡ぎだした音は、なんとも繊細で美しすぎます。ジャズ的なバンド編成でいて、ジャズらしいアレンジはなく、むしろフォークロアの世界を感じさせてくれます。「静けさ」とは音がないから静かなわけではなく、「静けさ」を際立たせてくれる「音」の存在があるからこそ感じられる。ボクは常々そう思っていて、この作品もちょうどそれに当たると思います。乾いた心にミスト・シャワーを与えてくれるそんな作品です。

2009年10月22日(木)
ロンドン発のミクスチャー・ロック 〜 OI VA VOI / OI VA VOI 

何と形容してよいか分かりませんが、面白いアルバムです。日本にもシカラムータみたいな、日本人なのにアラブ風な音楽をやっているのがいますが、この人たちはロンドンを拠点としているのに、アラブっぽいというのかロマっぽいというのか不思議なことをやっています。またこのアルバムのテーマが宇宙飛行士のガガーリンなんて言うと、もう頭が変になります。ロンドンは東京以上にコスモポリタン都市の歴史は古いので、こういうのも生まれてきても不思議ではないとは思いますが。ちょっと変った、でもカッコいい音楽が聴きたいな〜、とか、別の世界へ行ってみたいな〜、なんて方にはお勧めです。ホント、カッコ変です。

2009年10月21日(水)
陶酔系って言うんでしょうか? 〜 Mars Volta / Octahedron

ボクは何を期待してこのCDに手を出したんだろう?。ここ数年とても売れていることは確かです。前作がグラミー賞を取ったから聴いてみる気になったのか?と言うとそういうわけでもない。「現代のプログレの形!」なんてどっかに書いてあったっけ・・・・、たぶんそれで買ったんだと思う。内容は確かにプログレと言われれば、盛り上げ方なんか、そんな感じがしますが。でも、こういうのをエモって言うのかな・・・?これだけ自己陶酔的なヴォーカルを聴いていると、すぐにお腹がいっぱいになってしまいます。どちらかと言えば、メタル系な感じがします。甲高いヴォーカルに、かき鳴らすようなギター、そしてバックに申し訳程度にメロトロンが鳴っています。ボクも少し年をとったのかな〜、なかなか入り込めません。

2009年10月20日(火)
オレがロックをやればこんなもんさ 
         〜 Paul McCartney&Wings / Back to the egg

ポールがウィングス名義で発表した最後の作品。前作「ロンドンタウン」で3人になってしまったウィングスがまた5人に戻ったので、さあ、これから!と思ったら、このアルバムでちょっとやりすぎちゃったのかな・・・?この後からはソロになってしまいました。「ヴィーナス&マース」からアメリカを意識しだしたポールは、多くの人から愛されるポップス・メーカーとして認知されて行ったが、このあたりでガツンとハードな一面を見せようと思ったかどうか・・・?この作品をウィングス最後と気合を入れて作ったのではないかな。「Getting Closer」、「Rockestra Theme」などかなり力が入っています。その他「Arrow Through Me」、「After The Ball〜」などポールらしい美しいメロディーの名曲も収録されています。

2009年10月19日(月)
気だるいフレンチ・ポップ・カバー 〜  Nouvelle Vague /  3

「チカレタ〜・・」てな時「なんもかも、忘れちまいなさいよ〜!」と悪魔のささやきが・・・。と言うのがボクが感じるフレンチ・ポップのイメージ。人生、楽しまなきゃ!とつくづく感じます。このヌーヴェル・ヴァーグはほぼすべての曲がカバー曲で、彼らの十八番は主に90年代のニュー・ウェーブ。見事なまでのフレンチ・アレンジに喝采です。「デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ」の「カモン・アイリーン」も彼らの手に掛かると妖艶なフレンチに早がわり。これにはやられました。ということでこの新作も多彩なカバー満載です。日本版のみヴォーナス・トラックで「ユニコーン」の「すばらしき日々」も収録されています。が、これは・・?です。

2009年10月7日(水)
ひとつの潮流を作った彼らの行方 〜 コブクロ /  CALLING

流行歌にはいつもその時代をリードするスタイルというものがある。少し遡ってみても、マシンガンのような歌詞とダンス・リズムの小室ワールド。ポップな曲に演歌的なサビのツンクのモー娘。ドラゴン・アッシュが最初だったのかラップとポップの融合。そしてこのコブクロが作った2段3段ロケットのようなサビの盛り上げ。これでもか!というほどドラマチックな展開で、今は昔と比べると曲自体がそうとう長くなってるんじゃないかな。その代わり曲のキャッチーな部分が薄れてしまい、どれを聴いても同じように聴こえてしまう。コブクロの最新作を聴いてもやはり同じように聴こえてしまうのはボクだけかな?ジャケ写もらしからぬデザインで、彼らも迷っているのかな・・?

2009年10月3日(土)
ほとんど詩の朗読の世界 〜 David Sylvian / Manafon

デヴィッド・シルヴィアンの新譜です。昔はヴィジュアル系のパンク・バンドJAPANのヴォーカルとして、特に日本ではアイドル的存在として扱われていましたが、それは昔の話。そんなイメージを持っている人が最近の彼の作品を聴いたらぶっ飛ぶんじゃないでしょうか。前作の「ブレミッシュ」からかなりアンビエントな方向へ振ってきていましたが、これはさらにアンビエント・ミニマルな世界へ行ってしまいました。メロディーやリズムといったものを超越してほとんど読経の世界です。バックにはターン・テーブルで大友良英が参加してたりして、それはもう「あっちの世界」へ行っちゃってます。彼の独特な声にしびれたい方にはお勧めですが。

2009年10月2日(金)
さすがの迫力に脱帽! 〜 Chicago / Chicago Transit Authority

ブラス・ロックの老舗「シカゴ」のデヴューアルバムです。ボクが知るシカゴは、既にAORの甘く、そしてキャッチーなメロディーのポップ・ロックバンドという印象でしたが、初めのころはすごく硬派だったんですね。1969年というロックにとっては実に輝かしい年に、イギリス、カンタベリーのジャズ・ロックとはまた違った畑から出た彼らのブラス・ロックは、R&Bの臭い漂うアメリカならではのサウンドに満ち溢れている。不慮の事故で亡くなったテリー・キャスのギターもここで始めて聴いたが、この当時としてはかなりのものです。甘い声で後のシカゴの顔になるピータ・セテラもここではタイトなベース・ワークで確かなリズムを支えています。曲の内容も、政治色がかなり濃く、転がる時代を象徴しています。ここまで来ると古さよりは、逆に新鮮さを感じさせてくれます。

2009年9月27日(日)
意外と「純」な今の若者志向 〜 GReeeeN / 塩、コショウ

我が家の息子たちのお気に入りが、このGReeeeNとキマグレン。毎日、勉強しながら聴いているから母親からよく叱られています。彼らの音楽の、特に歌詞を聴いていると、こんな世の中にも関わらずなのか、こんな世の中だからこそなのか、とても素直に友達や仲間を求めている詩が多いことに驚かされる。ボクたちが青春時代の30年ほど前は「恋」を歌った曲が多かったように思うが、今の世代はもう少しそれを不特定多数に広げた「愛」を歌っている曲が多いような気がする。友情を題材にした歌なんて、昔は気恥ずかしくてあんまりなかったよな・・・(ムッシュのはあったけど)。このGReeeeNのメロディはどこか懐かしく、言葉の数も、このところのラップ系と比べるとちょっとおじさんにも馴染みやすい少なめです。「遥か」なんて曲はどこかで聴いたような曲なんですが、卒業式で歌われそうな涙物の名曲です。

2009年9月24日(木)
シカゴ・サウンドの影響かな?〜 Tommy Guerrero / Lifeboats and Follies

ボクのお気に入りのトミー・ゲレロの新作は、これまでとちょっと毛色が違います。これまではギターのリフにメロディーが乗った、ちょっとハワイの雰囲気を醸し出すような、ユルユルとした感じですが、今回はかなりジャズ色が濃くなっています。バンドの構成も、彼のギターとトランペット、ベースにドラムと、特に管楽器が入るのは稀ではないでしょうか。暗闇で聴くとシカゴ系の室内楽的なジャズに聴こえてきます。やはりこれは、最近の彼の交友関係に由来するのかもしれません。以前もここで紹介いたように、友人のレイ・バービー繋がりでジョン・マッケンタイアーなどシカゴの面々との交流が深まったせいかもしれません。彼ってギター・ソロ、弾くんだ〜!ってちょっと意外な展開です。

2009年9月8日(火)
いぶし銀のギター・デュオ 〜 Lagrene & Luc / Summertime

ジプシー・ギターの名手ビレリ・ラグレーンとジャズ・ギターの名手シルヴァン・リュックのデュオ2作目?。タイトルからも想像が付くように、ジャズのスタンダード集となっている。この二人の掛け合いはお互いに遠慮がなくて、いい意味でエキサイティングだ。デュオといえば、どちらかがソロを弾いていればどちらかが伴奏、とお互いに相手を引き立てるもの。でもこの二人はその辺が妙に曖昧で面白い。圧巻はお馴染みのチック・コリアの名曲「Spain」。あの独特の間が彼ら二人のギターにはピタリと来る。聴き流すだけのアコースティック・ギター作品ではない、奥深さが感じられる演奏です

2009年9月1日(火)
聴き応えのあるクオリティの高さ 〜 ハナレグミ / あいのわ

今回のアルバムは、ジャケ写からぶっ飛んでいますが、この勢いが伝わるほどの快作です。得意のレゲエあり、スローファンクあり、ブギーあり、そしていつもの弾き語りありで、全編飽きさせない永積ワールドです。この人のアルバムって何だか不思議に引き込まれるんです。音のセンスがいいと言うか、ツボを心得ていると言うか、プロデューサーとしても一流なんじゃないかと、思うわけです。これがまだ3作目だなんて思えない、昔から聴いてきたような安心感はどこから来るのかホント不思議です。最近のJ−ポップの中では大推薦です。

2009年8月31日(月)
同じCDを2枚所有する意味 〜 Pink Floyd /  Dark Side of The Moon

こんなの奥さんに見つかったらまた言われるだろうな・・「何で同じCDが2枚もあるわけ!?」。違うんです。これは同じ内容でも音質が全く違うんです。ハイブリットSACDで再度リマスターされ、SACDの再生機では5.1サラウンドで聴けるらしい。我が家にはないので24ビットデジタル再生状態での試聴になりますが、これがスゴイ迫力なんです。このピンク・フロイドの「狂気」は1973年に発表されて以来、全米チャートのベスト100に570週も居座り続けたというモンスター・アルバム、いまだに古さを感じさせないクオリティーがあります。今回はSACD版を購入しましたが、どうもDVDオーディオ版もあるそうで、折があれば3枚目も・・・と思いますが、これはまた追々と。作品が生まれて既に36年経っているにも関わらず、さらなるリマスターを重ねて輝き続けるアルバムはそうはないと思います。最近、ビートルズの作品が再度リマスターされて出ていますが、こちらも楽しみです。

2009年8月18日(火)
昨日のつづき・双子の話 〜 The Mattson2 / meets Ray Barbee

昨日、紹介したマットソン兄弟の第2弾はプロ・スケートボーダー繋がりでトミー・ゲレロとも競演が多いレイ・バービーとのコラボレーション。これも不思議に心地よいサウンドを聴かせてくれてます。レイのレイドバックしたギターと彼らのちょっとミニマル系のギター、そしてこのアルバムではホーンも交えて、これまでにないアンサンブルを聴かせてくれます。トータスなどシカゴ音響系が好きな方には久々の掘り出し物かもしれません。ちょっと前のトータスがここにある・・って感じです。

2009年8月17日(月)
このサウンドがツボにハマッテイマス。 〜 The Mattson2 /Introducing
あまり情報がなくて、彼らがどんなミュージシャンなのか詳しくは分かりませんが、トミー・ゲレロ周辺でジョン・マッケンタイアのお気に入りと聞けばどんな音か想像がつきます。そう、そんな感じで、実にオモシロイのです。サーフ・ロックにシカゴ音響系が絡むと意外とイケルと実感しました。エフェクトのほとんどかかっていないエレキギターのポロポロという音がちょっとミニマルちっくに展開されながら、それでいて波の音が聞こえてきそうなオーガニック感があったりして、ギター・ジャズとして聴いてもなかなかの聴き応えです。まだ20代前半の双子の兄弟ということらしいので、まだまだこれからが楽しみです。
2009年8月11日(火)
こんなにスゴかったっけ!? 〜 YES / YES
プログレの大御所 YESのファーストアルバムです。ボクは高校時代、このYESにはまり、リアル・タイムで「究極〜Going for the one」を買いました。それ以前に「こわれもの」「危機」などで魅了されていたボクに彼らのニュー・アルバム「究極」はあまりピンとくる作品ではありませんでした。それなら彼らの原点を聴いてみようとこのファーストのLPを買いました。当時の感想は、・・・・でした。でも、それから約30年を経てCDで聴いてみると、これがとても新鮮なサウンドに聴こえるのはなぜでしょうか?ステレオ録音の粋を生かした左右に揺れるエンジニアリング(最近では陳腐に映りがちですが・・)技術は、時代を超えて彼らのスゴさを実感させられます。これと、セカンドを聴くと、やはりこのバンドはクリス・スクワイアでもってるんだ〜と納得させられます。
この夏は温故知新で色々と聴いてみようと思います。
2009年7月25日(土)
いつもと感じが違います。〜 Tortoise / Becouse of Ancestership

トータスの久々の新譜です。期待に胸躍らせて・・・・?、どうもいつもと違うぞ。ナニやらシンセかキーボードの音色がやたら耳につく。前半の2,3曲はどうも彼ららしからぬ没個性な展開。これならその辺のフュージョン・バンドではないか!。それでもその後は少しずつ斬新な音作りが垣間見えて、聴き終わるころには、これが最新の彼らがやりたかったことだったのか・・と納得させられる内容です。これまでのような、生音とエフェクトとの音の深みのようなところが薄れ、ちょっとテクノっぽい方に振ってきているのかな。これはこれでトータスだと思います。

2009年7月13日(月)
第2弾はお金が掛かっています〜 Melody Gardot / My one and only thrill

またもや、サボっていました。うちの奥さんがHPのリニューアルしてて、書き換えさせてくれなかったんで・・・なんてね。この間、たくさん聴きまくったので、追々書いていきますのでご勘弁を。
話題の歌姫、メロディ・ガルドーの第2弾です。ノラ同様、最初が受けすぎると次がしんどいよね。ノラもジェシ・ハリスの呪縛から解放されるには大変だっただろうけど、メロディも「さあ、次はナニ?」って期待されてのリリースなのでかなりやりにくかっただろうね。けど、作品的にはそれらをうまくかわした感じがします。前作とは大幅にスケール感を変えて、オーケストレーションをフンダンに入れて、前の場末の雰囲気とは比較できない内容になっています。それにしても最近の録音技術はすごいです。彼女のボソボソとした歌声をうまくかき消さずにオーケストラがきれいに伴奏しているんですから。ヘッドホンで聴くと唸ります。オーケストラが入るとちょっと仰々しくなりがちですが、これはとても耳障りが良いです。

2009年5月22日(金)
心憎いほどのオトナです。〜 YMO / GIJONEYMO

YMOなんて何年ぶりかな〜。渡辺香津美や矢野顕子と一緒に世界を沸かせた頃、ジャズとテクノってこんなに近いんだ・・と一時はまったが、マスコミに露出が多くなってからあまり興味がなくなった。そして解散(散解って言うの?)してから数度の再結成を経て、このおじさんたちがどんな事をやっているのか興味があって聴いてみた。印象としては、本当に心憎いほどのオトナの音楽に仕上がっています。それは何者でもなく、YMOの「今」を表現するオリジナリティの形と言える。ボクにとって懐かしいメロディーは「RYDEEN」だけだが、彼らのサービス精神もその程度で、なにしろ今の音を聴け!という彼らのゆるぎない自信を感じる。音のアレンジは多少アンビエントな方向に振っているが、それも変幻自在に表現できるんだろう。ちょっと、やられたかな・・と感じるほど、やはりこの3人は天才的でした。

2009年5月16日(土)
あんまり評判なので聴いてみた〜 FleetFoxes / FleetFoxes

シアトルから出た新人バンドが既に世界中の音楽雑誌で絶賛されている!と聞いて、これは聴かねばと思い購入してしまいました。ボクの印象としては、新人のデビューアルバムとして聴くと確かにスゴイと言ってもいいと思う。このジャケットデザインと言い「新人離れ」しているというのが印象。中身は昔のムーディーブルースのような感じ。中世を意識したチェンバー・ロックっぽい要素が、いつか聴いたことのあるような郷愁を誘います。そう、どこかで聴いたような・・・?という感じです。でも、音の作りこみはホント新人とは思えないデキで、次作が出てくるか心配なほどです。最近、CDを買っていない昔のプログレ・ファンには満足いく内容かと思います。

2009年5月8日(金)
このオジさんスゴイんです!〜 Tommy Emmanuel / Center Stage

ここ1年ぐらいソロ・ギターに凝ってまして。ギター1本でステージの真中に立ち、観客を魅了する・・・、そんなことやってみたいよね。日本では押尾コータローがこのジャンルを切り開いたけど、このオジさんはまたメチャクチャすごい。ギターのスタイルとしてはブルース系のピック使いが専門っぽいが、メロウな曲ではサムピックを使ったフィンガー・ピッキングも実にうまい。観客を乗せるのもうまく、黙々と聴かせるというよりは、ファンキーな大道芸人風だ。風貌はちょいワルオヤジっぽくてあまり好感は持てないが、何しろカッコいいです。YouTubeでライヴが見られるのでそっちを見てください。

2009年4月27日(月)
プロ・スケートボーダーの初期の作品 〜Tommy Guerrero / backintheday
ここでも過去何枚か紹介しているボクのお気に入りのミュージシャン、トミー・ゲレロの初期の作品が再発された。もともとプロのスケートボーダーだった彼が、ボードに乗りながら聴きたい音楽を自分で作ってしまえ!とレコーディングしたのがこの作品らしい。素人が片手間に作ったようには全然聴こえません。打ち込みのループに生のギターを乗せて作る、彼の初期の作品の原点はここにあったのだ。初めて彼の作品を聴いた時、なんとなくトロピカルな、それでいて物悲しい響きが印象的で、往年のカラパナ・サウンドのアコースティック版か?と思ったのを憶えています。彼はこの後、ガジェットらと組んでよりヒップでヘヴィー路線へ傾き、最近また原点回帰してきているように思います。
2009年4月6日(月)
静かなアフロ・ジャズ  〜 Rokia Traore / Tchamantcha

アフリカはマリ出身の女性シンガー、ロキア・トラオレの3作目(たぶん?)。このジャケットを見たら、なんだかワクワクしません?実はこの雰囲気そのままな静謐で熱い、勝手に言うならアフリカン・モダンといった感じです。ほとんどがマリの言葉で歌っていて、バックの楽器類もまんまアフリカの打楽器類ですが、これがしっかり押さえられていて、なかなかしっとりしています。アフリカから・・と聞くだけであのジャンカジャンジャカに鼻から抜けたようなシャウトを連想してしまいがちですが、これはちょっと違います。ECMから出ていても不思議じゃない感じのディープさです。

2009年3月27日(金)
粋なライブをありがとう。 〜 TOKU / Everything She Said
先日、3月3日のひな祭りの夜、ここ清里のパブ「ロック」にて初めてのTOKUのライブが行われた。当日はお昼前からあいにくの大雪で、案の定、東京からのお客様が軒並みキャンセルで、トホホ・・・という出だし。それでもほぼ満員となった会場に、ドラム、オルガン、ギターの音が鳴り響く。そして今日の主役TOKUの登場。一曲目の独特に鼻にかかった彼のハミングで会場もまた独特な空気に包まれた。間に休憩を入れた、都合2時間ほどの2セット。降り続く雪がロマンチックにさえ感じられる夜でした。今度のニューアルバムはちょっとジャズっぽくないけど、ボクが彼を初めて知った、このデビューアルバムはなかなかの聴きものです。新しい風を予感させてくれます。J−ポップみたいに売れなくてもいいじゃん。ジャズ・ファンは浮気しないよ
2009年2月9日(月)
あのハイトーンとジャズの融合 〜 Christopher Cross / The Cafe Carlyle Sessions

「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」などあの爽やかなハイトーン・ヴォイスが再び帰ってきました。クリストファー・クロスの最新作は往年の名曲のセルフカバー盤。バックはジャズスタイルを意識した構成で粋な雰囲気で聴かせてくれる。でもどうしても、彼のあのハイトーンがジャズの持つ湿気になじみにくく、カラッとした感じに聴こえてしまう。でも彼のベストを買うつもりなら、迷わずこれをお勧めします。この人は歌もうまいけど、英語がきれい。歌からのヒヤリングをしようと思ったらこのアルバムがピッタリかもしれません。日本版は出る予定はあるのかな・・・?。とりあえず今手に入るのは輸入盤のみです。

2009年1月29日(木)
ふわふわと、とうとう宇宙まで・・。 Juana Molina / Un Dia

アルゼンチンが生んだ世界的なメジャー・ミュージシャン」と言ってもよいほど、説明不要にまでなったフアナ・モリーナの新作です。残念ながら日本ではまだ国内版は出ていないようで・・。以前もここで紹介したけど、彼女の音楽はone & onlyな浮遊感をもった独特な世界を聴かせてくれます。このアルバムはそれも極まり、ふわふわと宇宙まで漂ってしまいそうな内容です。バックを漂うサンプリングの音の波の上を彼女の声と生の楽器がポロンポロンと浮遊します。このジャケット、表紙もちょっと怖いけど、中を開けてみたらもっと怖かった。これは全然内容とは関係ないけど。午後のまどろみの中で聴いていると、本当に寝入っていまうのでご注意を。

2009年1月17日(土)
この人、まだまだ枯れてません!〜 J.D.Souther / If The World Was You

あのさわやかな歌声「ユア、オンリー、ロンリ〜・・」は何年前だったでしょうか。あの彼がこのジャケットのような渋〜いおじさんになって、そのうえバックにジャズ・セットを従えて、となれば「ん〜!」と唸ってしまうほど期待させてくれます。ところが実際に聴いてみると、意外?と昔のハイ・トーンはそのままだし、まだまだシャウトしちゃってるし・・・、とてもこのジャケのおじさんが歌っているとは思えない、良い意味での躍動感がありました。ボズの一連のジャズ・アルバムを期待していると肩透かしを食らいます。これは、JDならぬ、JTの雰囲気に似ています。最近のベテラン・ミュージシャンが忘れがちな、地に足の着いた作品作りを感じる一枚です。

2009年1月8日(木)
09年、初めにサイケ・プログレ 〜 Duegen /  4

09年の初めにふさわしいアルバムを探してみたのですが、なぜかこのスウェーデンのサイケ・プログレ・バンドを選んでしまいました。この年末年始にかけて一番よく聴いた!というのが主な理由です。ちょっと昔のビル・ブラッフォードのようなドラムに,
まさに「サイケ」と呼ぶにふさわしいギターの歪み具合、そして意表を突く曲の展開・・と,けっこう飽きずに聴けました。難を言えば、スウェーデン語のヴォーカルが実にたよりなく、あ〜、これがなかったらな〜・・と感じさせてしまうところか。
今年もこのコーナーでは、ボクが聴いた変なものからマトモなものまで、独断と偏見でチョイスした作品をご紹介します。
よろしくお付き合いください。

2008年12月24日(水)
イヴはロマンチックに・・。 〜 TOKU /  LOVE AGAIN

静かなイヴの夜、甘い囁くようなヴォーカルをどうぞ。ということで、今、日本ジャズ界のイケメン、TOKUの新作をご紹介します。日本のチャット・ベーカーと言われ、甘いヴォーカルにフリューゲル・ホーンを片手にデヴューして、これが5作目になるのかな。今回のアルバムはボクも個人的に交流のある、アトランタ在住のピアニスト宮本貴奈ちゃんのプロデュースで、アトランタ録音ということで、聴かずにはいられない一枚です。全体的にはジャズという域を大きく出て、かなりコンテンポラリーなヴォーカル・アルバムに仕上がっています。ボクが関わっている「朝プロジェクト」が貴奈ちゃんと中西圭三さんを結び、今度はTOKUに曲を提供することで中西さんとTOKUが結ばれる・・、縁とは不思議なものです。これを機会に、来年の3月にはTOKUがこの八ヶ岳にやって来ます。彼のすばらしいパフォーマンスが間近で見られると思うととても楽しみです。

2008年12月22日(月)
今年のベスト・アルバムは・・?〜 Lenine  /  LABIATA

そろそろ2008年も残すところ数日となり、ミュージック・マガジンでは恒例の「今年のベスト・アルバム」が紹介されていました。そこで、ボクも・・と思ったのですが、今年は意外と突出したものがなく、コレという作品が選べません。その中で、つい先日届いたブラジル盤、レニーニの新譜がけっこう良かったので紹介します。90年代の中ごろ、レニーニを初めて聞いたときの衝撃は相当なもので、これをきっかけにブラジル音楽にのめりこんだほどでした。この作品も彼らしい新しいアイデアが随所に見られ、さすが!と唸らせてくれます。
ところで、ベストアルバムですが、やはり数回前に紹介したデヴィッド・バーンかな。現代ポップスの新たなスタンダードを示してくれています。

2008年12月19日(金)
「耳の良さ」を問われる一枚 〜 Tokyo Zawinul Bach / Sweet Metallic

またもや登場の菊池成孔のジャズ・エレクトロニカ・ユニットのアルバムです。ボク的には彼の手がけるスタイルの中ではこのTZBが一番実験的でおもしろいかな。タイトル通り、メタリックな打ち込みサウンドに生のサックスが時に艶めかしく、また時にさらにメタリックに聴こえて、ジャケットのイメージを膨らませてくれます。パソコン・プリンターで印刷されたドロップ・キャンディの味わいと言うのかな?普通に聴いていたら、ただのテクノ。ちょっと深く聴けばウェザーリポート。そしてさらに聴きこむと彼らのオリジナリティが見えてくる、そんな聴き手を試すような作品です。口の中に甘いキャンディがあるのを想像しながら聴いてみて下さい。

2008年12月14日(日)
カッコイイ!これぞまさにFUNK! 〜 Yoichi Murata Solid Brass & Big Band ft.Randy Brecker 
/ Tribute to Brecker Brothers

日本を代表するジャズ・トロンボーン、村田陽一率いるソリッド・ブラスとビッグ・バンドによるブレッカー・ブラザーズのトリビュート盤です。ランディー・ブレッカー本人もフィーチャーしてノリノリでFUNKを聴かせてくれます。なにしろこの人たちのキレと言ったらスパッと音が聴こえてくるほどです。2曲目、ジャコの演奏でお馴染みの「Donna Lee」ではベース・ラインをそのままトロンボーンでやってるので、ブラバン的な響きが聴けて面白いです。でも、全般的にランディーのエフェクトをかけたトランペットがちょっとやりすぎの感があり、所どころシンセに聴こえてしまいそうで残念。このアルバム、車の中で聴ける数少ないジャズじゃないでしょうか。こんなの聴いて運転してたらアドレナリンが出すぎてちょっとヤバイかも。首都高あたりではお勧めしません。

2008年12月4日(木)
やっぱり軽いノリでした。 〜 Sea and Cake /  Car Alarm

シカゴは、トータスがらみのメンツで歌ものポップスを聴かせてくれるシー・アンド・ケイクの新譜です。今回はトータスのリーダーでもありシカゴ音響系のドン、ジョン・マッケンタイアーのプロデュースと聞いてちょっと期待して買いました。あ〜!やっぱり軽い!そう言えば以前彼らのアルバムを買って後悔したことを思い出しました。サム・プレコップの軽い、少年のようなヴォーカルは健在で、これがこのバンドの由縁であることを思い出した。ちょっとサーフ・ロック的なカラッとした雰囲気は、シカゴから、と言うよりもカリフォルニアからといった感じです。遅く起きた朝、何も考えずにぼーっとするならこのアルバムを聴きながら。

2008年12月2日(火)
ふっ切れた感じですごく良いです。 〜 The Bad Plus / For All I Care

これも最近購入した新譜から。このバッド・プラスは以前にもここで紹介したように、ピアノ、ベース、ドラムのジャズ・トリオ。でも、デビュー作からとてもジャズらしからぬ選曲、アレンジでジャズ界の異端児的存在でした。しかし、アルバムを重ねるたびに彼らのアイデアも底を尽きてきたのか、ここ2作はちょっと息切れを感じさせていました。そこでこの作品では、初めて女性ヴォーカル(ウェンディ・ルイス)を迎え、表現力の手数が足りない部分を補うことで、また彼ららしさが復活してきたようです。選曲もYesの「Long Distance Runaround」やPink Floydの「Comfortably Numb」なんて思わずニンマリしてしまうような心憎さです。歌のバックといえども、決して伴奏にはなっていないところがピアノ・トリオらしさかもしれません。とても面白いですよ。

2008年12月1日(月)
渋さ、ここに極まる! 〜 Boz Scaggs / Speak Low

遂に出ました。ボズ・スキャッグスのジャズ・スタンダード第2弾。前作「But Beautiful」から5年。この作品の副題に「Standards Volume T」とあったので、Uはいつ出るのかと期待していたところでした。今回は、ジャズのスタンダードに加えて、ボサノヴァのスタンダード「Dindi」や「Senza Fine」もボサノヴァとは一味違ったアレンジで聴かせてくれます。何よりもあのハイトーンの渋〜い声で甘〜く囁くように歌われたら、もうだめです。「We are all alone」を知る世代で、ジャズ入門と考えている方には危険な一枚かもしれません。なぜなら、これを聴いたら他のジャズ・ヴォーカルのアルバムが物足りなく感じてしまうほど、タレンティッドな声ですから。自分へのクリスマス・プレゼントと思って買ってみてください。絶対、損はしません。

2008年11月30日(日)
デヴィッド・バーンの最高傑作じゃない 〜 David Byrne & Brian Eno /
  Everything that happens will happen today

いや〜、久々に名盤に出会ったという感じです。デヴィッド・バーンの最新作。ブライアン・イーノとのコラボレイションで届けられたこの作品は、バーンの卓越したメロディー・センスとイーノのこれまた卓越したサウンド・センスが織りなす「バーン節」となっています。哀愁漂う独特なヴォーカルに、緻密に計算されれた、これまで聴いたことのないような(ちょっと大げさかな?)サウンド作りには約45分の間、釘づけにさせられます。このところ、舞台のサントラや企画物が続いていたので、このアルバムは久々のまともなスタジオ録音盤、彼の底力を感じます。今年聴いた中でもかなり上位に入るのではないでしょうか。

2008年11月10日(月)
思い出の名盤 〜 オフコース 〜 We are

ボクの高校から大学時代、オフコースの全盛期だった。当時の小田和正は今よりナルシストで、その姿が彼の完璧主義を助長していた。この「We are」というアルバムは、オフコースが5人グループになった集大成的な作品であり、彼らの最高傑作と言って良いだろう。そしてこの後出した「Over」で一つの区切りを付け、鈴木康博が脱退する。当時としては驚異の武道館1週間公演、そして最終公演の小田の涙は今見てもグッ来る。そう言えば、このアルバムが出た当時、FM-NHKで彼らのライヴがオンエアされた。このライヴの最後の2曲のハーモニーは鳥肌物。ボクはエアチェック(死後)したテープを大事に持っていたものが最近伸びて聴けなくなっていることが分かりとてもショック。誰かこの音源、持ってないかな〜?。NHKさん、これを蔵出ししてくださいよ!

2008年11月4日(火)
やっとこの「渋さ」が分かるように・・ 〜 Van Morrison / What's wrong with this picture?

「Van Morrisonの作品には駄作がない。」と誰に聴いても、またどんな音楽雑誌を見ても言われているので、この夏、何枚か聴いてみた。これはそのうちの一つ。どこかで聴いたことのあるような、懐かしいメロディーが並び、ほんわかしてるうちに一枚聴き終えてしまう、そんなアルバム。この人は本当に多作で、これまでに30枚以上出ているので、どれから聴いてみて良いやら迷いました。なるべく最近のものから、と思ってもう一枚、「Magic Time」も聴いてみましたが、これも良いです。でも、どのアルバムだったっけ?って言うくらいどれも良く似ています。だからかな、駄作がないと言うのは。ホントどれも良いです。

2008年10月23日(木)
落ち着いて聴けるようになりました。 〜  Mogwai / The Hawk is Howling

インスト・ロックまたは、ポスト・ロックの先駆けとして一つの時代を築いたMogwaiの新作です。このジャケット・デザインそのものの「雄々しさ」さえ感じられる内容になっています。彼らの持ち味は、繊細な一音一音から始まり最後は怒涛の轟音というドラマチックな曲の展開。このアルバムでもその手法は健在。でも一味これまでと違うのが、打ち込みを効果的に入れてより表現力が増したところか。前作まででちょっとマンネリ感を感じていた人には新鮮に聴けるかもしれません。彼らのフォロワーが星の数ほど出て、彼らの地平を荒らして行ったけど、「それがなんぼのもんじゃい!」と言わんばかりの内容とこのジャケットです。初めてMogwaiを聴く方にはお勧めの一枚です。個人的には3rdのRock Actionを超える作品を期待したいところですが・・。

2008年10月6日(月)
Cute!!でも只者ではない新星 〜 Esperanza Spalding /  Esperanza

このところ、Jazzyな渋〜い女性ジャズ・ヴォーカリストが多く脚光を浴びる中、このEsperanzaは実にCuteで明るいジャズを聴かせてくれる。でもかわいいだけじゃないんですよ、この子。現在24歳、バークリー音楽院を優秀な成績で卒業し、今は見ての通りジャズ・ベースを教えてるらしい。こんなにベースを弾きながら歌が歌えるの?と思ってYoutubeで見てみたら、実にしなやかに力強く、自分の体ほどのベースを弾きながら、アイドルのような声で歌っていました。女性でベースと言えば、ミッシェル・ンデゲロチェロや日本では元AjicoのTokieちゃんなどいますが、ヴィジュアルの良さからは後出のtokieちゃんタイプかな。曲調はボッサ・ジャズ風で明るいうちから聴ける、さわやかなものです。今年下半期の一押しです。

2008年10月1日(水)
今、注目の日本人ドラマー 〜 大槻”KALTA"英宣 /  Vertical-Engine

このジャケットかっこいいじゃ〜ん!思わずジャケ買いしてしまいそうだが、中身もジャケに違わずかっこいいのだ。以前、ここでもご紹介した日本の若手イケメンバンド「TKY」でドラムを叩いていたのが彼である。日野賢二と一緒にこのバンドで一番目立ってました。このアルバムは彼のリーダー・アルバムだけあって、かなりツッ走ってます。タイトなジャズ・ファンクの好きな方には、かなり面白いかもしれません。

2008年9月25日(木)
野生のフレンチ・ヴォイス 〜 Camille  /  Le Fil

様々なジャンルの音楽に触手が動いてしまい、何に一番感動するのか自分でもよく分からなくなってしまっている中、やはりググッと心動かされるのが人の「声」ですね。どこから絞り出しているのか分からないほど、魂の響きに似たような「声」に出会うと、思わず涙がこぼれるほど心動かされます。このcamilleも一声聴かされてやられてしまいました。自由奔放な女の子が、自然と見せる原始の色気っていうのかな・・・?、甘ったるさの中に野性を感じます。フランス語の歌詞がまたその甘ったるさを引き立て、最近とてもはまっています。陽だまりの午後3時くらいがちょうど合うかな。甘〜いカフェラテとともにどうぞ。